こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

永住申請については、2026年10月1日からの入管手数料の改定に続き、永住許可に関する基本要件を定める「永住許可に関するガイドライン」についても、2026年10月1日付で改定が行われました。今回の新ガイドラインは、年収など一部の要素を除き、2027年4月1日以降の申請から適用されます。

​この記事では、改定されたガイドラインの申請要件(考慮要素)をもとに、変更のポイントや適用時期などを分かりやすく解説します。

※本記事では、主な変更点や追加された内容に基づいたものです。詳しくは、それぞれのガイドラインをご確認ください。

●永住許可に関するガイドライン(2026年2月24日改訂)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
●永住許可に関するガイドライン(2026年10月1日改訂)
https://www.moj.go.jp/isa/10_00279.html

​永住許可に関するガイドラインとは

​永住申請に関しては、出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条に永住許可の規定があり、同条第2項に許可要件が定められています。永住許可の許否の判断は、申請者一人ひとりの様々な事情を総合的に考慮して判断されます。その審査において入管庁が考慮する基本的な考え方や、申請者が満たすべき条件を示す目的で公表されているのが「永住許可に関するガイドライン」です。

永住申請の3つの法定要件

​永住申請には、主に以下の3つの法定要件(入管法第22条第2項)が存在します。

  1. ​素行善良要件:日本の法律を遵守し、日常生活においても社会的に批判されることのない生活を営んでいること
  2. ​独立生計要件:日常生活において公共の負担にならず、自立した生計を営みうる資産または技能を有すること
  3. ​国益適合要件:その者の永住が日本国の利益に合致すると認められること
    ​今回の改定では、特に「②独立生計要件」と「③国益適合要件」の基準が大きく厳格化されたと言えます。

※身分や地位に基づいて在留している方の場合、素行善良要件や独立生計要件への適合が不要となる場合があります。

主な改定ポイント

収入<※2026年4月1日以降の申請から適用>

今までの300万円以上(扶養家族がいる場合は、人数分に応じ70万円~80万円を加算)とされていた年収要件が、今回の改定では、申請者の属する世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準が求められることとなりました。ただし、「日本人世帯の平均収入」については、基準となる具体的な金額が公表されていません。こちらの収入要件については、2026/10/1(新ガイドラインの改定日)から6か月前の2026年4月1日以降の申請であって、かつ、2026年10月1日時点において申請中である案件にも適用されます。つまり、遡及して適用されるという意味です。

年金<※2027年4月1日以降の申請から適用>

今までは加入義務がある人は加入した上で、免除を受けていない限り、審査対象期間分の年金保険料を、納付期限内に適正に納付するだけでよかったのですが、今回の改定では、申請時点の年齢、申請時点までを含む加入対象期間全ての年金の加入状況、及び申請時点の年収から推計される将来において受給可能な年金の見込額が、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合において将来受給可能な年金の見込額に達しているかも審査されます。

ただし、将来の年金受給見込額が基準に達しない場合でも、不足する生活資金を補填できる金融資産を有していると認められれば、基準を満たしているものとして評価されます。なお、年金受給見込額や補填資産については、原則として同一生計世帯単位で判断されます。

10年ルートで申請する場合の日本不在期間について<※2027年4月1日以降の申請から適用>

申請時点から過去10年以内において、合理的な理由なく、一回の出国で半年以上不在とした期間がある場合又は通算して2年6月以上不在とした場合は原則として消極的に評価されます。10年ルートでの申請以外においても、日本不在期間が長い場合には、申請に影響しますので、注意が必要です。

日本語能力<※2027年4月1日以降の申請から適用>

永住許可を受け、今後長年にわたり日本に生活の本拠を置いて、日本の地域社会に円滑に適応し、社会生活を支障なく過ごすためには、一定水準の日本語能力が求められることから、申請時点において、一定水準の日本語能力を有していることを考慮要素となります。具体的には、「日本語教育の参照枠」における日本語能力の熟達度のうち、B1相当レベル以上の日本語能力を有しているかを考慮要素となります。

ただし、高度人材外国人やその家族、日本の初等教育又は中等教育を累計6年以上受けた者、一定の条件を満たす永住者の子などについては、B1相当以上の日本語能力を考慮要素としない場合があります。そのため、すべての永住申請者に一律にB1相当以上の日本語能力が求められるわけではありません。

日本の制度・ルール等への理解<※2027年4月1日以降の申請から適用>

地域社会に円滑に適応せず、問題を引き起こすおそれがある外国人に対して永住許可をすることは相当ではないため、申請者が、我が国の制度・ルール等についての理解が乏しい者や、これらを理解する意欲に欠ける者である場合には、消極的に評価されます。 具体的には、「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に、出入国在留管理庁長官が指定する方法によって理解度の確認を行い、その理解が一定水準以上に達しているかを考慮要素となります。

学齢期の子の就学<※2027年4月1日以降の申請から適用>

外国人の子供が、日本の地域社会に円滑に適応し、社会生活を支障なく過ごすためには、その子に対して我が国の教育を受けさせることが必要であると考えられることから、申請者が学齢期(義務教育の期間をいいます。)にある子を養育する親である場合には、子が小学校又は中学校に通学していること、申請者が学齢期にある者である場合には、申請者が小学校又は中学校に通学していることが求められ、これらを満たすかが考慮要素となります。

旧ガイドラインと新ガイドラインの比較

主な要素旧ガイドライン
(2026年2月24日改定)
新ガイドライン
(2026年10月1日改定)
適用時期
法定要件変更なし変更なし―
原則10年在留に関する特例※主な変更点●日本人、永住者及び特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留
●その実子等の場合:1年以上日本に継続して在留
●日本人、永住者及び特別永住者の配偶者:実体を伴った婚姻生活が5年以上継続し、かつ、引き続き3年以上日本に在留
●その実子等の場合:3年以上日本に継続して在留
2027年4月1日から
収入明記なし「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」と明記2026年4月1日以降の申請、かつ2026年10月1日において申請中である案件
年金公的義務として適正に履行日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合において将来受給可能な年金の見込額に達しているかを考慮
※金融資産による補填が可能
2027年4月1日から
公租公課の支払明記なし 「公租」は、所得税、住民税、法人税、固定資産税等の租税全般をいい、「公課」は、租税以外の負担金(公的医療保険、公的年金等)をいい、これらを適切に支払っていない場合には消極的に評価される。
※同一生計世帯単位で審査
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日本語能力ー「日本語教育の参照枠」における日本語能力の熟達度のうち、B1相当レベル以上の日本語能力
※一定の申請者には例外があり
2027年4月1日から
日本の制度・ルール等への理解ー入管庁長官が指定する方法により、入管庁が公表している「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に確認2027年4月1日から
学齢期の子の就学ー申請者が学齢期(義務教育の期間)にある子を養育する親である場合には、子が小学校又は中学校に通学していること、申請者が学齢期にある者である場合には、申請者が小学校又は中学校に通学していること。2027年4月1日から

申請時における最長の「在留期間」について

2027年3月31日までに行われた永住許可申請については、在留期間「3年」を有する方であっても、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。また、2027年4月1日以降に申請する場合でも、一定の経過措置があります。

2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有しており、

- 2027年4月1日以降に行う初回の永住許可申請であること

- 2027年4月1日から現在の「3年」の在留期限までの間に、その永住申請について処分を受けること

などの条件を満たす場合に限り、在留期間「3年」であっても「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。

注意点: 2027年4月1日以降の経過措置では、在留期間「3年」の満了日までに永住申請を行うだけでは足りず、その満了日までに審査結果が出ることも条件となります。そのため、申請時期には十分な注意が必要です。

行政書士法人IMSでは、個々の状況に合わせた永住申請のサポートを行っております。ご不安な点やご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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