
「永住ビザ」(永住権)とは
「永住ビザ」とは、就労ビザなどの在留資格を有する外国人の方が、一定の要件を満たした上で必要書類を揃えて永住許可申請を行い、法務大臣から許可を受けることにより取得できる在留資格です。永住が許可された場合、入管法上の正式な在留資格である「永住者」が付与されます。
「永住者」は、日本で行うことのできる活動や在留期間に制限がないため、他の在留資格と比べて在留管理上の制約が大幅に緩和されます。一方、その性質上、永住許可申請は通常の在留資格変更許可申請などよりも慎重に審査され、独自の許可要件が設けられています。
日本での在留活動に制限がない
一般的な就労ビザの場合、退職や転職をした際には、入管への届出が必要となることがあります。また、現在有している在留資格や転職後の仕事内容によっては、在留資格変更許可申請が必要となる場合もあります。一方、永住者となった場合は、就労する職種や活動内容による制限がないため、転職などに伴う在留資格変更許可申請は必要ありません。
在留期間が無期限
一般的な就労ビザなどでは、現行法上、付与される在留期間は最長「5年」であり、在留期限後も引き続き日本に在留する場合には、在留期間更新許可申請が必要です。一方、永住者には在留期間の制限がないため、在留期間更新許可申請を行う必要はありません。
なお、在留カードには有効期限があります。2026年6月14日以降に交付された在留カードについては、18歳以上の方は交付の日後の10回目の誕生日まで、18歳未満の方は交付の日後の5回目の誕生日までとなります。
【目次】
・独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
永住ビザ申請の要件
永住許可を受けるためには、原則として以下の3つの要件を満たす必要があります。
1.日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)
2.素行が善良であること(素行善良要件)
3.独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
1. 素行が善良であること(素行善良要件)
法律を遵守し、日常生活においても、住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることが求められます。例えば、日常生活または社会生活において、違法行為や迷惑行為を繰り返していると認められる場合には、この要件を満たさないと判断される可能性があります。
交通違反は永住申請に影響する?
自動車を運転される方の場合、スピード違反などにより罰金刑(赤切符)を受けた場合は、永住許可申請に影響する可能性があります。また、駐車違反などの比較的軽微な交通違反(青切符)であっても、短期間に複数回繰り返している場合には、「素行が善良である」と評価されない可能性があります。
2. 独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
申請者のこれまでの在留状況、申請時点の収入、将来見込まれる収入、保有する資産や技能などを総合的に考慮し、日本の公共の負担となるおそれがなく、将来にわたって安定した生活を維持できると見込まれることが求められます。具体的には、現在および将来において自活できると認められる必要があり、日本人と同等水準以上の経済的基盤を有しているかが審査されます。
なお、独立生計要件は、原則として同一生計世帯単位で判断されます。
永住申請ではどのくらいの年収が必要?
原則として、申請時点における申請者の世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に継続して達しているかが、審査上のポイントとなります。ここでいう「世帯年収」とは、申請者本人の年収と、同一生計世帯を構成する方の年収を合算した金額をいいます。ただし、申請者の扶養を受ける「家族滞在」の在留資格を有する方など、本来就労が認められていない在留資格の方が資格外活動許可を受けてアルバイトなどをしている場合、その収入は原則として世帯年収の合算対象とはなりません。
また、申請者が扶養している親族がいる場合は、その親族が海外に居住している場合であっても、世帯人数に加算されます。申請者の世帯人数が5人以上となる場合には、世帯人数に応じた年収水準に「生活費等の増加額分」を加算し、世帯年収がその基準に達しているかが考慮されます。
永住申請における「就労を目的とした在留資格」とは?
永住申請において「就労を目的とした在留資格」として扱われる在留資格は、家族の帯同が認められていないなど一定の制約がある以下の在留資格が除かれます。
- 「技能実習」
- 「育成就労」…2027年4月1日施行
- 「特定技能1号」
- 「企業内転勤」
- 一部の「特定活動」
永住申請では年金の加入状況も審査される?
申請時点までの年金加入状況に加え、申請時点の年収などから推計される将来の年金受給見込額も審査対象となります。具体的には、日本人世帯の平均収入を上回る一定の年収水準で30年間勤務し、その期間、厚生年金に加入していた場合に見込まれる年金額と比較し、申請者の将来の年金受給見込額が一定の水準に達しているかが考慮されます。将来の年金受給見込額が必要な水準に達していない場合であっても、その不足分を補うことのできる十分な金融資産を申請時点で保有している場合には、年金受給見込額が必要な水準に達しているものとして評価される場合があります。
この場合に必要となる金融資産の水準は、申請時の年齢などを考慮して判断されます。若い申請者の場合、年金受給開始年齢までに資産を形成できる期間が長いため、年金受給開始年齢に近い申請者と比較して、必要となる金融資産の水準は低く設定されます。年金受給見込額および不足分を補うための金融資産についても、原則として同一生計世帯単位で判断されます。配偶者がいる場合は、申請者と配偶者の年金受給見込額を合算して判断されます。
3. 日本国の利益に合すると認められること(国益適合要件)
公的義務の履行
永住申請では、中長期在留者として求められる各種届出義務を適切に履行していることが求められます。
申請時点で届出義務違反がある場合だけでなく、過去の義務違反が判明した場合にも、原則として消極的な要素として評価されます。例えば、以下のような場合は、永住許可申請に影響する可能性があるため注意が必要です。
- 永住申請前に転職したものの、入管への届出を行っていなかった。
- 勤務先の所在地や会社名が変更されたにもかかわらず、必要な届出を行っていなかった。
- 「高度専門職1号」の在留資格で転職したにもかかわらず、変更申請(指定書の書換)を行わないまま勤務していた。
税金・年金・健康保険料の支払い遅れは永住申請に影響する?
永住申請では、税金、公的年金および公的医療保険の保険料についても、適切に納付していることが求められます。申請時点ですでに納付済みであったとしても、本来の納付期限までに支払われていなかった場合は、永住許可申請に影響する可能性があります。そのため、税金、年金、健康保険料などをコンビニや銀行振込等で自ら支払っている方(普通徴収)は、特に納付期限に注意する必要があります。また、納付後の領収証書などは、大切に保管しておくことをおすすめします。給与から税金などが天引きされている場合(特別徴収)は、通常、自身で納付する必要はありません。ただし、市区町村から発行される納税証明書などに「特別徴収」であることが明確に記載されていない場合には、給与明細の写しなど追加資料の提出を求められる場合があります。
永住申請に日本語能力は必要?【2026年10月改正】
永住許可を受けた外国人は、今後長期間にわたり日本に生活の本拠を置くことが想定されます。そのため、地域社会に円滑に適応し、社会生活を支障なく送るために必要となる一定の日本語能力を有しているかが、永住許可申請における審査要素となります。具体的には、「日本語教育の参照枠」のB1レベル(日本語能力試験N3相当)以上の日本語能力を有しているかが考慮されます。
ただし、すべての申請者について一律にB1レベル以上の日本語能力が求められるわけではありません。
例えば、以下のような場合には、申請者本人にB1レベル以上の日本語能力を求める必要性・相当性がないとして、この要素が考慮されない場合があります。
- 高度人材外国人
- 高度人材外国人の家族
- 学校教育法に定める初等教育または中等教育を累計6年以上受けた方
- 日本で出生した永住者の子で、養育する親がB1相当以上の日本語能力を有している場合など
日本の制度・ルール等への理解
永住申請では、日本の地域社会に円滑に適応し、社会生活を安定して送ることができるかという観点から、日本の制度や生活上のルールについて一定の理解を有しているかも審査上の考慮要素となります。日本の制度・ルールについて十分な理解がない場合や、それらを理解しようとする姿勢が認められない場合には、消極的に評価される可能性があります。具体的には、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心として、日本の制度やルールを理解しているかが確認され、その理解度が一定水準以上に達しているかが考慮されます。
「生活・就労ガイドブック」はこちら!
学齢期の子どもの就学
申請者が義務教育期間にある子どもを養育している場合、子どもが日本の地域社会に円滑に適応し、社会生活を送るために必要な教育を受けているかも考慮されます。そのため、申請者が学齢期にある子どもを養育している場合には、その子どもが小学校または中学校に通学していることが求められます。
また、申請者本人が学齢期にある場合には、申請者自身が小学校または中学校に通学しているかが考慮されます。
永住ビザの主な申請ルート
永住申請には、申請者の在留資格、日本での在留年数、高度人材ポイント、身分関係などに応じて複数の申請ルートがあります。ご自身がどのルートで永住申請を行うことができるかについて、申請前に確認することが重要です。また、申請者の状況によっては複数の申請ルートに該当する場合があります。ただし、申請ルートによって、税金や社会保険料などの審査対象期間が異なることがありますので、どのルートを選択するかについては慎重に検討する必要があります。

永住ビザ申請のガイドラインの適用について
2026年10月現在、永住許可申請に関するガイドラインには、2026年2月24日改訂版と2026年10月1日改訂版があります。申請時期によって適用される内容が異なるため、永住申請を行う前に、ご自身の申請にどのガイドラインが適用されるかを確認する必要があります。
| 2026年2月24日改訂版 | 2026年10月1日改訂版 | |
| 2026年3月31日までの申請 | 〇 | × |
| 2026年4月1日~2027年3月31日の申請 | 〇 | × 収入等に関する部分が適応 |
| 2027年4月1日以降の申請 | × | 〇 |
●2026年2月24日改訂版
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html
●2026年10月1日改訂版
https://www.moj.go.jp/isa/10_00279.html
2027年4月以降、在留期間「5年」がないと永住申請できない?
2027年3月31日までに行われた永住許可申請については、在留期間「3年」を有する方であっても、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。また、2027年4月1日以降に申請する場合でも、一定の経過措置があります。
2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有しており、
- 2027年4月1日以降に行う初回の永住許可申請であること
- 2027年4月1日から現在の「3年」の在留期限までの間に、その永住申請について処分を受けること
などの条件を満たす場合に限り、在留期間「3年」であっても「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
よくある質問
Q. 改定後の永住許可手数料20万円は、いつの申請から適用されますか?
A. 2026年10月1日以降に行った永住申請について、許可された場合に20万円の手数料を収入印紙で納付します。2026年9月30日までに申請し、2026年10月1日以降に許可された場合には、改定前の手数料1万円が適用されます。
Q. 2027年4月1日以降は、在留期間「5年」を持っていないと永住申請できませんか?
A. 必ずしもそうではありません。経過措置が設けられており、2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有している場合には、一定の条件を満たすことで永住申請が可能です。詳しくは、2026年10月1日改訂のガイドラインをご確認ください。
Q. 住民税を期限後に支払ったことがあります。永住申請に影響しますか?
A. 影響する可能性があります。住民税、年金、健康保険料などについては、単に申請時点で納付済みであればよいわけではなく、原則として指定された納付期限内に適切に納付していることが求められます。
Q. 住民税などの納付遅れがあった場合、いつ永住申請するのがよいですか?
A. 納付状況について審査される期間は、永住ビザの申請ルートによって異なります。そのため、ご自身の申請ルートに応じた審査対象期間(直近3年分など)について、適切な納付実績を積んだ後に申請することが望ましいと考えられます。
Q. 「技術・人文知識・国際業務」で勤務していますが、来月転職予定です。永住申請に影響しますか?
A. 転職自体が禁止されているわけではありません。ただし、転職した場合には入管への届出が必要となりますので、所定の期間内に必要な届出を行ってください。
Q. 「高度専門職1号」で永住申請中に転職する場合、どのような手続きが必要ですか?
A. 転職先で勤務を開始する前に、原則として「高度専門職1号」への変更申請(指定書の書換)が必要です。転職後、高度専門職のポイント要件を満たさない場合には、他の就労資格への変更申請が必要となります。
また、新たな許可を受けた後、転職先で勤務することができます。永住申請についても、転職先が発行する在職証明書などの追加資料を提出する必要があります。
Q. 永住申請中に勤務先の所在地が変更されました。何か手続きが必要ですか?
A. 入管への届出が必要となります。当該事由が発生した日から14日以内に入管へ届出を行ってください。
Q. 昨年、スピード違反で罰金を支払いました。永住申請に影響しますか?
A. 罰金刑などの違法行為がある場合には、永住許可の審査において原則として消極的に評価されます。
Q. 永住申請に必要な年収額はいくらですか?
A. 具体的な基準額は公表されていません。また基準となる金額が「所得」なのか「収入」なのか、年齢階級別にどのような水準が設定されるのかについても、具体的な金額は公表されていません。
Q. 新しい年収要件は、過去の申請にも適用されますか?
A. 2026年10月1日に改定された新しいガイドラインの年収に関する規定は、改定日の6か月前の日以降に行われた申請で、かつ、2026年10月1日時点で審査中の案件にも適用されます。








