こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

2022年10月11月の航空会社の燃料サーチャージは過去最高値となり、海外へのフライト料金はびっくりするほど高くなっていますが、それでもアメリカに行きたい方、行かなければならない方が多いようで、アメリカビザに関するお問い合わせも連日多く頂戴しております。

前回は、「逮捕や不起訴処分歴がある場合、アメリカに行けるのか?」という観点から、ESTA申請の際の適格性の質問、非移民ビザ用のオンライン申請書(DS-160)にあるセキュリティ質問について、ご案内いたしました。今回は、「不起訴処分となった逮捕歴をESTA申請で申告せずに、渡米しても問題がないか?」について、考えてみたいと思います。

不起訴処分でアメリカ渡航

「不起訴処分」とは、検察官が起訴しない決定をすることです。したがって、たとえ逮捕されても不起訴処分となれば、被疑者は身柄を解放され、刑事裁判にかけられることもありません。そもそも裁判をしていないので、有罪か無罪かの判断をしておらず、前科もつきません。それにも関わらず、ESTA渡米して、日本での逮捕歴があることをアメリカの入国審査官から指摘されてしまうことがあります。それは、一体なぜでしょうか?

PCSC協定について

日本とアメリカの間では、いわゆる「日・米重大犯罪防止対処協定(PCSC協定)」という犯罪者の指紋データベース情報を互いに共有する条約が締結されています。この協定は、「査証免除制度の維持」と「迅速な情報交換を通じた重大な犯罪の防止・捜査」の2つが目的となっており、9.11テロ以降、アメリカは全てのビザ免除国に対して、条約の締結を要請してきました。日本は、ビザなし渡航が認められている国の中では最も遅く締結し、2019年1月5日に同協定が発効しています。

「重大犯罪」という言葉が使われているため、不起訴処分になるような微罪やそもそも誤認逮捕だった場合には、関係ないものと思われがちですが、実際にはたとえ「不起訴処分」だったとしても、この協定が大きく影響を与えます。確かに「重大犯罪」として、協定上、定義されているのは、死刑、無期、3年以上の拘禁刑のほか、1年を超える拘禁刑のうち、協定附属書で定められた34の犯罪類型(テロリズム、殺人、放火、詐欺、贈収賄等)です。しかしながら、この協定に則り、アメリカが特定の者を識別しないで照会した場合には、日本の警察庁が保有する指紋全てが照合対象になります。つまり、有罪判決を受けた人、不起訴処分で終わった人、無罪判決を受けた人、たまたま現場に残っていた指紋、これら全てが照合対象となってしまいます。

お時間がある方は、この協定が国会で承認される直前の外務委員会での議事録を読んでいただくと良く分かると思います。他の条約についても審議されていますので、「指紋」で検索してみてください。

したがって、不起訴処分だった人がESTAで渡米した場合、過去に日本の警察に指紋を取られていれば、アメリカの入国審査時に指紋情報がヒットして、「逮捕歴ありますよね?」という話になる可能性が非常に高いのです。

米国大使館の案内

ちなみに、米国大使館のウェブサイトには、ビザ免除プログラムを利用できない場合として、下記のように記載されています。

「有罪判決の有無にかかわらず逮捕歴のある方、犯罪歴(恩赦や大赦などの法的措置がとられた場合も含む)がある方、重い伝染病を患っている方、過去に米国への入国を拒否されたり、強制送還された方、そしてビザ免除プログラムで入国し、オーバーステイしたことがある方は、ビザ免除プログラムを利用することはできません。渡米するためには、ビザを取得しなければなりません。ビザを持たずに入国しようとすると入国を拒否されることがあります。」

以上のことから、弊社ではたとえ不起訴処分であっても、逮捕歴のある方のESTA渡米はお勧めしておりません。正直に申告の上、ビザを取得できれば、正々堂々と渡米できます。弊社では不起訴処分歴のある方のビザ取得実績が多数ございますので、ご不安な方はぜひIMSまでご相談ください。