こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

まだまだ暑い日が続きますが、朝晩は少し涼しくなってきました。早いもので今年もあと4か月です。夏の暑さでダメージを受けた身体が悲鳴を上げないよう体調管理に気を付けなくてはと思っております。

さて、皆様は米国の「グローバルエントリー」という制度をご存じでしょうか。これは、米国のCBP(Customs and Border Protection)という政府機関が運営するプログラムで、事前の承認を受けた危険度が低い渡航者の航空機による米国入国手続きを簡略化するための制度です。このプログラムは、米国人、米国永住者、その他特定国の国籍者が利用できます。これまで、日本人の利用は基本的には米国の永住者のみに許された特別な制度でしたが、この度、2023年7月末より、日本国籍者でCBPの事前認証を受ければ、利用できることになりました。2017年後半に、パイロットプログラムが密かに実施されており、米国永住権を持たない日本人でもプロモーションコードを入手できた方(日本人では1500名のみ)は、このプログラムへの申請ができたようです。

グローバルエントリーのメリット

一度でも渡米されたことがある方なら、ご存じでしょうが、米国のイミグレーションでの入国審査は、①米国籍及び米国の永住者用の列、➁ESTAやその他の非移民ビザ用の列に分かれています(最近、日本も同様になったようですね。)。➁の列は、多くの場合、尋常ではないほどの長蛇の列に並ばなくてはならず、審査までの時間もかなり掛かるため、トランジット(乗り換え)がある場合で、時間的余裕がない時には気が気ではありません(別のターミナルへ全速力で走った経験がおありの方もいらっしゃるのではないでしょうか。)。家族での渡米の場合、家族の中に一人でも(赤ちゃんでも)米国籍者がいれば(米国は出生地主義のため、日本人家族の中に一人だけ日米二重国籍者が混じることも良くあります。)、①の列に並べるので、滞米中は非常に羨ましく思っていたものです。

このグローバルエントリのメリットは何といっても、上記のような長蛇の列に並ぶ必要がないことです。プログラム参加者は、自動化キオスクを使用し、パスポートやビザをスキャンさせ、指紋照合すれば、入国手続きは完了です。CBP入国審査場外にある手荷物受取所および優先出口に誘導されます。つまり、グローバルエントリー参加者、イミグレの列に並ぶ必要のないチケットを手に入れることになります。頻繁に渡米の必要性がある方にとっては非常に魅力的な制度ではないでしょうか。

また、グローバルエントリー登録が済んでいる場合、米国内で飛行機に搭乗する際にTSA Precheckが利用できるようです。事前にTSA(米国運輸保安局)から承認を受けた旅行者はアメリカの加盟空港出発時にTSA PreCheck専用レーンを利用することができます。また、セキュリティ検査では、靴、ベルト、ジャケットの着脱や、手荷物に収納されたノートパソコンや液体物を取り出すことなく通過することができます。

グローバルエントリープログラムへの参加資格

・グローバルエントリーへの参加が認められた特定国の国籍を有すること(日本国籍者は申請資格があります。)

・18歳未満の申請者は親または合法的な保護者の同意があること

・機械読み取り式のパスポートを所持していること

グローバルエントリープログラム申請の方法

  1. トラステッドトラベラープログラム (TTP) のウェブサイトよりオンライン申請を行い、申請料100ドルを支払う(一度支払った100ドルは返金不可)。この申請料には5年間のプログラム登録費用が含まれます。現時点において、日本人が申請をするには、特別なコードが必要です。コードを入手するにはCBP宛てにメールをする必要があります。
  2. 日本国籍者の場合、戸籍謄本を出入国管理庁東京入国管理局審査管理部門(米国ではなく、日本の役所です。)に郵送か持ち込みで提出。米国政府が申請者の情報を確認し、身元調査を行います(審査期間は4-5か月)。
  3. 最終承認が下りる前に、申請者は米国内の登録センターでCBP職員による面接を受けます(要面接予約)。 米国内の多くの主要空港に到着した際に面接を受けることもできます。この場合には、面接予約が必要ありません。面接の際に、顔写真の撮影および指紋の採取があります。

注意点

注意しておかなければならない点は、このグローバルエントリーが認証されたとしても、ESTAやビザは別途必要であるということです。名称が若干ややこしいですが、グローバルエントリー認証=ビザ不要ではないので、ご注意ください。

行政書士法人IMSでは、米国グローバルエントリープログラムへの申請サポートも行っております。興味がおありの方はお気軽にお問合せください。