高度専門職ビザ

高度専門職ビザ

「高度専門職ビザ」とは

高度専門職ビザとは、高度な専門性を有する外国人材が該当する、出入国管理上の優遇措置が付与されるビザです。
高度専門職ビザの活動内容は、(1) 「高度学術研究活動」、(2) 「高度専門・技術活動」、(3) 「高度経営・管理活動」の3つに分類されます。
「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設定し、ポイントの合計が一定点数(70点以上)に達した場合に、優遇措置が与えられます。
高度専門職ビザは、1号(1号イ、ロ、ハ)と2号に分かれています。
ポイント計算表に基づき、それぞれのポイント該当項目を立証する、疎明資料(例:学位の証明書、職歴の証明書、資格の証明書、収入の立証資料)を提出し、高度専門職1号が許可されると、一律5年間の在留期間が付与されます。
また高度専門職1号を取得してから3年経過すると、高度専門職2号への切り替えが可能です。
高度専門職2号が許可されると、高度専門職に該当する活動を行う限り、無期限に日本に滞在することが出来ます。

ポイント計算表はこちら

高度専門職ビザの 活動内容

(1) 高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」
日本の公私の機関との契約に基づいて行う、研究、研究の指導、または教育をする活動
例:大学の研究者、教員、政府系機関または民間企業の研究者
(2) 高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」
日本の公私の機関との契約に基づいて行う、自然科学または人文科学の分野に属する知識、または技術を要する業務に従事する活動
例:一般企業におけるシステムエンジニア、プログラマー、経営コンサルタントなど多数の専門職
(3) 高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」
日本の公私の機関において、事業の経営を行い、または管理に従事する活動
例:企業の経営者、管理職従事者

高度専門職ビザの優遇措置

1、複合的な在留活動の許容
本来、「在留資格」とは許可された活動だけを行えるというものです。在留資格以外の活動(例えば副業等)を行うためには、資格外活動許可を得なければならず、その許可がなければ違法活動となってしまいます。しかし、高度専門職ビザで許可されている職業の中で複数にまたがって活動することができます。例えば、所属先機関での活動内容と関連する会社を設立して経営する活動は認められます。

2、在留期間「5年」の一律付与
たとえば「経営・管理」という在留資格では、許可される在留期間は「5年、3年、1年、4か月、3か月」の種類があります。初めて在留資格を申請して一気に「5年」が認められることは少なく、通常は数回の更新を経て、ようやく「5年」が認められることになります。しかし、高度専門職ビザでは最初から「5年」が認められます。

3、在留歴に係る永住許可要件の緩和
通常、永住許可の申請をするには10年以上日本にいることが求められますが、高度専門職ビザでは条件が3年に短縮されます。また、永住ビザ申請時からさかのぼってポイントが80点以上の方の場合は、たった1年間日本で活動すると、永住許可申請をすることができます。

4、配偶者の就労
原則として、扶養を受けながら「家族滞在」ビザとして入国する配偶者は働くことができません。しかし高度専門職ビザの就労ビザを持つ人の配偶者は、「技術・人文知識・国際業務」や「教育」、「研究」、「興行」ビザに該当する活動に限り、「特定活動」ビザへ変更してフルタイムでの就労活動できます。
※家族滞在ビザでは、資格外活動許可を得れば週につき28時間以内でアルバイトが出来ます。

5、6、一定の条件の下での、親の帯同の許容
年収や子どもの年齢、家事使用人の報酬額など一定の条件はありますが、親や家事使用人を長期滞在として日本に呼び寄せることができます。例えば、子供が7歳までは、親が子供の面倒を見てくれる活動で日本での滞在が可能になります。

7、入国・在留手続の優先処理
「在留資格認定証明書の交付申請」の場合や「在留資格更新申請・変更申請では、他のビザの審査期間より優遇されることがあります。

高度専門職 1号ビザに関する注意点

高度専門職 1号ビザを取得後、転職することとなった場合、高度専門職 1号ビザを取得し直すか、技術・人文知識・国際業務ビザなどの就労資格に変更するなど、在留資格の変更許可申請が必要となります。
一方、技術・人文知識・国際業務ビザの場合は、同ビザに該当する活動を行う限り、就労資格を申請し直す必要性まではなく、「契約機関に関する届出」(あくまで申請ではなく、届出のみ)が必要となります。
そのため、高度専門職 1号ビザは「一律5年」の許可とはなるものの、出入国在留管理庁への申請が、5年間不要となるとは限らず、5年以内に転職する可能性が見込まれる場合には、注意が必要です。

「高度専門職2号」とは

高度専門職2号とは、高度専門職1号を取得した者が3年以上在留し、素行が善良であり、かつ 日本国の利益に合致しているなどの要件を満たした場合に認められる在留資格です。
高度専門職1号の在留資格で3年以上経過した場合には永住の在留資格の取得要件も満たす可能性があるため、永住申請と、高度専門職2号の申請のどちらも選択肢として選ぶことができる可能性があることになります。そのため、永住と高度専門職2号の違いが問題となってきます。
なお就労活動範囲・在留期間以外の特徴については高度専門職1号と同じです。

高度専門職2号のメリット

  1. 「高度専門職1号」で認められる活動のほか、その活動と併せて、就労に関する在留資格で認められるほぼ全ての活動が可能
  2. 在留期間が「無期限」となる
  3. 高度専門職1号の場合の、上記3から6までの優遇措置が付与

永住ビザとの違い

永住ビザと高度専門職2号ビザとの大きな違いは、高度専門職ビザの場合、少なくとも入管に認定された高度な専門職という職務とその所属機関(勤務先)についての就労に縛られるということがいえます。

永住ビザの場合、法令に反しない限り、どこの会社で働こうが、どんな仕事をしようが日本人と同等に活動することができます。この点については高度専門職ビザの場合にもかなりの範囲、 ほぼ一般的な就労活動のすべてを行うことができますが、専門職としての職務は基本的にはずすことができません。その限りにおいては制限があるということが言えます。

それなら高度専門職2号ビザを設けずとも、永住ビザだけでよいと思われますが、この 点に関しては、当該外国人の母国において日本で永住を取得した場合には日本に帰化した場合と同様の不利益な扱いを受ける場合がありうることを想定したもののようです(母国 の国籍を離脱しなければならないなど)。よって永住ビザではなく高度専門職2号ビザという在留 資格を取得するという選択的な方法を示したということのようです。

また高度専門職ビザの場合には永住ビザにはない優遇措置が見込めるという場合もありえます。たとえば家事使用人や父母の在留を一定限度において認められる場合があります。