こんにちは。行政書士の高田と申します。コロナ禍も終わり、日本進出を考えるお客様からのお問い合わせをいただいております。今日は、外国人や外国法人が日本へ進出をするために、どのような事業体を設立すればよいのか、考えられる3つの事業体の特徴についてご説明させていただきます。

まず、外国人や外国法人が日本で事業を行うために設立する事業体は、①駐在員事務所、②外国法人の支店、③外国法人とは別個の日本法人の3つの形態が考えられます。

①外国法人の駐在事務所

日本市場の調査活動、広告・宣伝、外国法人のための物品の調達や保管などが主な活動となります。日本で収益を得る活動や営業活動を行うことはできません。

メリット:

・登記ができないので費用があまりかからず、事務所を賃貸することで設置ができる。

・収益を得る活動や営業活動を行うことができないため、日本での法人税や所得税を納税する必要がない。

デメリット:

・登記ができない。

・収益を得る活動や営業活動を行うことができない

・駐在員事務所名義での契約はできず、代表者が個人名義で契約をしなければならない。

・駐在員事務所名義の銀行口座の開設は難しく、代表者個人名義の口座を開設することとなる。

【在留資格】

駐在事務所にて活動を行う外国人駐在員は収益を得る活動や営業活動を行うことはできず、日本で行った活動に対する給与は、外国の親会社から日本の駐在事務所の代表者名義に送金されることになるため、就労資格を取得することが難しい場合が多いですが、本国の外国法人の規模のよっては「企業内転勤」や「技術・人文知識・国際業務」で許可される場合もございます。

②外国法人の日本支店

日本支店として、本国の外国法人の信用力を生かして営業活動をすることができます。

メリット:

・本国の外国法人の信用力を利用することができる。

・登記の際に、定款の作成や資本金の振込が不要である。

・支店名義の銀行口座の開設や事務所の賃借が可能。

・日本支店において損失が発生しても、本国の外国法人で利益が出ていれば、損失は外国法人の利益で相殺可能であるため、外国法人の納税額を抑えることができる。

デメリット

・「日本における代表者」として日本居住者が必要となる。

・意思決定をする際に、外国法人の承認が必要になる。

・日本支店において、法人税・消費税を納税する必要がある。

・本国の外国法人の本店所在地や役員が変更になった場合に、日本支店の変更登記手続きが必要である。

・日本支店において事業が失敗した場合に、本国の外国法人で負債を負うリスクがある。

・許認可を得る必要がある事業を行う場合、許認可申請の際に多くの書類を本国の外国法人から取り寄せ、翻訳をしなければならない。

・外国法人の資本金が1億円以上ならば、日本支店が小規模な会社であっても、法人税法上で中小法人として扱われずに大法人として扱われ、納税額が多くなる。

【在留資格】:

一般的には、会社の経営を行う外国人の代表者は「経営・管理」を、外国人従業員は「企業内転勤」または「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格を取得してから活動を行うことができます。会社の規模が相当大きい場合には、外国人で事業の管理の仕事をする者が「経営・管理」の在留資格を取得することができます。

③外国法人とは別個の日本法人(株式会社または合同会社が一般的です。)

上記の②よりデメリットが少ない点で、一般的な進出形態となっています。

メリット:

・法人登記ができる。(定款の作成や資本金が必要)

・日本法人名義の銀行口座の開設が可能である。

・外国法人の承認を得ることなく、日本法人が独自に意思決定を行うことができる。

デメリット:

・資本金を用意する必要がある。(外国人が代表者となり日本で経営活動を行うためには、資本金500万円以上を用意する必要がある。)

【在留資格】

一般的には、会社の経営を行う外国人の代表者は「経営・管理」を、外国人従業員は「企業内転勤」または「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格を取得してから活動を行うことができます。会社の規模が相当に大きい場合には、外国人で事業の管理の仕事をする者が「経営・管理」の在留資格を取得することができます。

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