こんにちは。行政書士法人IMSの竹内です。
最近、ご自身の親(祖父母)が日本人だった場合、日本で再び居住することができるのかという問い合わせが増えています。今回はそのような場合の申請可能性について、日系アメリカ人の方を例としてお話させていただきます。
【日系アメリカ人が日本で居住するには?】
在留資格「日本人の配偶者等」の取得で日本に在留できる可能性があります。
【では、「日本人の配偶者等」は配偶者だけの在留資格なのか?】
「日本人の配偶者等」という名称を見ると、「日本人と結婚している外国人のためのビザ」と思われるかもしれませんが、この在留資格の対象者は配偶者だけではありません。
出入国在留管理庁が示す典型例では、
• 日本人の配偶者
• 日本人の特別養子
• 日本人の子として出生した者 などを対象としています。
そのため、現在はアメリカ国籍であっても、日本人の父または母の実子として生まれた方であれば、「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する可能性があります。例えば、
• 母または父が日本人だった
• 日本人の親がすでに亡くなっている
• 親がその後、アメリカ国籍を取得した
• 自分自身はアメリカで長年生活している
といったケースでも、家族関係や国籍の経緯を確認し、親が日本国籍を保有していたことで申請できる可能性があります。
【自分の親がすでに亡くなっていても申請は可能?】
自分の親がすでに亡くなっている場合でも、それだけを理由に申請できなくなるわけではありません。申請には日本人の親との親子関係を証明するため、戸籍・除籍謄本等の疎明資料が必要になりますが、こちらで関係性を立証できれば申請は可能です。
例えば「母親が日本人」だった場合は
• 母親の戸籍謄本
• 除籍謄本
• 改製原戸籍
• 出生記録
• アメリカ本国でのBirth Certificate
• Marriage Certificate
• Name Change Record
• Naturalization Record
などの書類を確認しながら、日本側とアメリカ側の記録をつないでいくことになります。
特に、数十年前に日本からアメリカへ移住した方の場合、旧姓、日本での氏名、ローマ字表記、出生地、本籍地、婚姻による氏名変更などが複雑に絡むことがあります。「母親の戸籍がどこにあるのかわからない」というところから、専門の機関に戸籍調査を開始するケースもあります。
【日本で生まれた外国人の場合は、まず国籍の確認が重要!】
「私は日本で生まれました。現在はアメリカ国籍です。」
この場合、出生地が日本であるという事実だけで日本国籍が決まるわけではありません。
日本の国籍制度は原則として父母との関係を基礎としているため、出生当時の父母の国籍、日本への出生届の有無、戸籍への記載、アメリカ国籍取得の時期、日本国籍の喪失・離脱の有無などを確認する必要があります。特に数十年前に出生した方の場合は、出生当時に適用されていた国籍法を確認する必要があります。そのため、最初から「ビザを申請する」と決めるのではなく、まず日本国籍の有無や戸籍記録を確認し、その結果に応じて在留資格を検討する必要があります。アメリカにずっと住んでいたので、当然に日本国籍は保有していないと思っていても、実は日本国籍を喪失していなかったという例も多々あります。
【日系であればすべて同じ「日本人の配偶者等」の在留資格になるのか?】
日系人であれば全員が同じ在留資格になるわけではありません。
日系二世と日系三世では取得する在留資格が異なります。
「日系二世」
日本人の外国籍の実子については、「日本人の配偶者等」が典型的な在留資格ですが、
本人の出生前にすでに親が日本国籍を離脱していた場合などには、「定住者」として検討する場合もあります。
「日系三世」
日本人の子の実子、いわゆる日系三世については、「定住者」の在留資格があてはまります。
【在留資格「日本人の配偶者等」、「定住者」は就労制限がありません!】
在留資格「日本人の配偶者等」や「定住者」等の身分系の在留資格は、許可取得後、正社員やパート、自営業、会社経営など、日本人と同じように自由に就労することが可能です。一般的な就労資格では特定の職種に限定され、それ以外の職種に就くときは資格外活動許可を取得するか、在留資格そのものを変更する必要がありますが、これら身分系の在留資格では就労制限はありませんので、自由に職業も選択できます。
【リタイアしていても日本での居住は可能なのか?】
「アメリカでの仕事を引退したので日本で暮らしたい」
という場合でも、日本人の実子として申請要件、生計要件を満たしていれば「日本人の配偶者等」の申請が可能となります。日本には、単に「日本で老後を過ごしたい」という理由だけで長期間居住できる一般的なリタイアメントビザ制度は存在しないため、日本人の親を持つ方にとっては、自分の家族関係に基づく在留資格が存在するかを確認することが非常に重要です。
【日本で居住を始める場合、ビザ以外の準備も必要です!】
アメリカから日本へ生活の本拠を移す場合、在留資格の取得は重要な第一歩ですが、それだけで手続が完了するわけではありません。実際には、日本での住所の確保、住民登録はもちろんですが、長期間、海外で生活してきた方の場合、双方に資産や年金、家族関係があることも多いため、全体像を整理しておくことをおすすめします。特に税務、年金、相続などについては、それぞれの分野の専門家への確認が必要です。
【自分のルーツを確認して、申請可能かを判断する】
「父親が日本人だったことを証明したい」、「自分に日本国籍があるのかわからない」というご相談をいただくことがあります。一見すると戸籍だけの問題に見えますが、その先に、日本国籍の確認 → 親子関係の確認 → 在留資格の確認 → 日本での居住という目的があるケースもあります。特に、日本を離れてから数十年が経過しているご家族の場合、日本とアメリカ双方の記録を確認しながら家族関係を整理していただきたく存じます。
行政書士法人IMSでは、日本の在留資格・国籍・戸籍に関係する情報を確認したうえで、それぞれのケースにもっとも適した手続をご案内しています。長年海外で生活され、「自分のルーツである日本で、これからの人生を過ごしたい」とお考えの方は、まずご自身と日本との法的な関係を確認するところから始めてみてください。在留資格認定証明書交付申請お手続きなど、弊社でサポートできることがありましたらお気軽にご相談いただければと思います。









