こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。
日本の外国人政策も次々と新しい施策が打ち出されており、混乱を極めておりますが、米国も同様です。最近の動きで最も大きなものが、Fビザ等に係るD/S制度の廃止です。本日はこの新しいルールについて見ていきたいと思います。
D/Sとは何か?
通常、ESTAやBビザ、Eビザ、Lビザ等の非移民ビザで渡米すると、入国審査において入国の可否が決定され、許可の場合には、滞在期限が付与されます。以前はパスポートに入国許可のスタンプが押印され、そこにビザの種類と日付が付記されましたが、スタンプレス化により、現在は、オンライン(I-94)にて確認できるようになっています。一方で、これまで、Fビザ、Jビザ、Iビザのほか、外交官向けビザ等の場合には、入国時に具体的な期限を定められるわけではなく、D/S(Duration of Status)とされておりました。つまり、ビザの種類に応じた当初認められた活動をきちんと行っている限り、米国での滞在が認められるという少々特殊な取り扱いになっておりました。F(学生)ビザの場合、学校から発行されるI-20という書類において、プログラム期間内であれば、米国での滞在自体は問題ないという取り扱いです。その結果、ビザの有効期限はとっくに過ぎているけれども、有効なI-20を持って、学校に通学し、合法的に滞在している学生が多くいた模様です。実際、学位を取得するコースではなく、複数の語学学校のみに通って、10年近く滞在していたというケースも見聞きしています。そして、トランプ政権はこのD/Sという制度自体を問題視していたようで、今回はFビザ、Jビザ、Iビザの3つのカテゴリーについて、D/Sの廃止という決定がなされました。本日はFビザに係るルール変更を説明いたします。
何が変わるのか?
最も大きな変化は、滞在期限がD/Sではなく、具体的な期日となることです。新たなルールに基づく滞在期限は、I-20に記載されているプログラム終了日まで(ただし、最長4年)となります。これまではGrace Periodと呼ばれる卒業後の猶予期間(出国準備期間)が60日ありましたが、今後はこの期間も短縮され、30日となります。また、これまではI-20さえ有効であれば、滞在は問題なかったため、学業期間の延長も容易でしたが、今後は入国時に定められた期限を超えて滞在したい場合、USCIS(米国移民国籍局)に滞在期間の延長申請を学生が自分で行わなければならなくなります。学部生や大学院生の専攻内容の変更も制限がかかるようになります。
新旧の基本的な違いを整理すると下記のようになります。
| 旧制度:D/S | 新制度:固定期間 | |
| I-94上の滞在期限 | 原則 D/S と表示。ステイタスを維持している限り、特定の期限の設定はなし | 具体的な期限日(Admit Until Date) が設定 |
| 基本的な滞在期間 | I-20に沿って正規に就学し、F-1ステイタスを維持する期間 | I-20のプログラム期間。 ただし、最長4年 |
| 4年を超えるプログラム | 学校側でのI-20延長等で対応し、通常はUSCISへの滞在延長申請は不要 | 4年を超えて滞在する場合、原則としてUSCISへExtension of Stay(EOS)申請が必要 |
| プログラム終了後の猶予期間 | 原則 60日 | 原則 30日 |
| OPT(Optional Practical Training) | D/Sの枠内で、主にI-765による就労許可手続 | 固定滞在期限を超える場合、I-765に加えて、EOS手続が別途必要になる場合あり |
いつから変わるのか?
この新しいルールは2026年9月15日から施行されます。これは、9月15日以降に米国に入国する人のみが影響を受けるわけではなく、既に米国に滞在中の学生にも影響は及びます。例えば、有効なFビザを持って、9月15日以降に米国に再入国する場合には、これまでのようにD/Sが付されるのではなく、固定の滞在期限が付与されます。また、既にF-1ステイタスで米国滞在中の方には、現在、D/Sが付されているはずですが、9月15日時点で有効なI-20のProgram End Date(OPTの場合には、EAD期限まで)滞在可能という運用になります(D/S廃止のため)。ただし、2026年9月15日から最長4年(+経過措置として、従来の猶予期間60日)が上限となります。つまり、2030年9月15日(+60日)が上限です。
今回の新ルールのポイントは、「ビザの有効期間」が4年になるという話ではなく、「米国内でF-1ビザステイタスとして認められる滞在期間」に固定の期限が付くということです。4年以上の博士課程などが禁止されるわけではなく、4年を超える場合にはUSCISへ滞在延長(EOS)を申請する仕組みに変わるということです。
上記のほかにも様々な細かいルール変更がなされています。確認事項や心配事がある場合には、学校のDSO(Designated School Official)に必ず確認するようにしましょう。
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