こんにちは。行政書士法人IMSの伊東です。

4月1日からAPEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)がプラスチックのカード形式のものからアプリによるバーチャルABTC(VABTC)に変更されました。これまではカードを携帯しなければなりませんでしたが、携帯電話にダウンロードし、使用でいます。また、カード形式の場合は、裏面に承認された国が記載されます。審査・承認の決定はそれぞれの国・地域当局が行うため、審査に要する期間も様々です。そのため、すべての国・地域の承認を得てから交付を受けるか、承認を希望する国の承認が下りたら、中途発行を受け、渡航先を追加したい場合には追加手続きが必要でしたが、承認国・地域が随時更新されていくため、以前よりも便利になりました。

APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)とは?

ABTC はAPEC域内をビジネスで頻繁に渡航する方の移動を円滑にすることを目的とし、1999年から始まったもので、日本は、2003年4月から交付を開始しました。

・現在のABTC制度参加国・地域

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港(ホンコン・チャイナ)、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾(チャイニーズ・タイペイ)、タイ、米国及びベトナムの21か国・地域

米国とカナダは、APEC・ビジネス・トラベル・カード(ABTC)制度への暫定的な参加メンバーのため、入国審査においてABTC専用レーン(または優先レーン)の使用はできますが、ABTCによる入国は認められておらず、査証の取得が必要です。

ABTCの発行を受けるメリット

査証なしで入国審査を受けることができ、入国審査時に、ABTC専用レーン(または優先レーン)を利用できます。

ABTCの有効期限と更新

新規発行から5年間です。パスポート番号に紐づいているため、パスポートの有効期限が到来し、引き続きABTCを利用したい場合には、パスポート番号変更による再交付を受けることができます。その場合の有効期限は新規発行の5年の残存期間です。新たに5年間の期限での発行を希望する場合には、新規発行の手続きを行うことになります。パスポートの氏名等の身分事項が変更になった場合には新規発行の対象になります。

5年の期限を迎え、引き続き、ABTCを利用する場合には、期限の6カ月前から手続きをおこなうことができます。手続きは新規交付申請です。

バーチャルABTC(VABTC)でのロシアへの渡航

先にお伝えしているように、2024年3月まではカード形式のプラスチックのABTCが発行されていましたが、4月からはアプリによるバーチャルABTC(VABTC)の交付が開始しました。カードの携帯が不要になったため、紛失等の心配がない一方、ロシアはVABTCによる入国を認めていないため、ロシアに入国するためには、従来のカード形式のABTCを使用するか、査証を取得することになります。2024年4月以降はカード形式のABTCの交付を行っていないため、現在、カード形式のABTCをお持ちでない方は査証の発給を受け、渡航することとなります・なお、VABTCをお持ちの方向けに査証発給の手続きを行っているようなので、駐日ロシア大使館にお問い合わせください。

バーチャルABTC(VABTC)を導入している国

現在、オーストラリア、ブルネイ、チリ、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、タイの10の国・地域がVABTCを導入しています。最近まで申請件数の増加により、外務省APEC室ABTC班の業務が逼迫し、手続きに時間を要していたことや一部資材が入手困難となり、一次発行を停止する状況が生じていました。VBTCが開始したことによる手続き期間の短縮を期待したいところです。