こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

日本へ帰国時に必須とされていたコロナワクチン接種証明書(あるいは陰性証明書)の提示は4月29日より不要となりましたが、米国への入国時に外国人が求められていたワクチン接種証明書の提示も本日(5月12日)より不要となりました。これで、益々渡米もしやすくなりますね。

このような状況を受けてか、ゴールデンウィーク以降、米国ビザに関するお問合せがひっきりなしに続いております。特に数か月程度の短期出張に係る企業のご担当者様からの問い合わせが多くなっているようです。本日は短期出張の場合に取得すべき米国ビザについて、ご案内させていただきます。

「短期」出張と一口に言っても、1週間程度~数か月程度まで様々かと思われますが、考えられ得るビザの種類は下記のとおりです。出張での渡米の場合、基本的には「就労は不可」となりますが、一部、就労活動が可能な場合もあります。

《就労不可》

①        ESTA(いわゆるビザなし)

②        B-1ビザ

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《就労可》

③        エンジニアとしてのB-1ビザ

④        B-1 in lieu of H-1B

⑤        E-tdy

それぞれの詳細を見ていきましょう。

ESTA

・最大滞在可能期間:90日

・ESTAの最大有効期間:2年間

・1-2週間程度の出張なら、通常、問題なし

・就労活動は不可

B-1ビザ

・何らかの事情(ESTA入力ミス、国籍、入国拒否歴、ビザ却下歴等)によりESTAを使用できない場合には、Bビザが必要

・最大滞在可能期間:180日

・Bビザ最大有効期間:10年間

・就労活動は不可

・数か月程度の長い滞在は危険!←米国での就労を疑われてしまうため

・ESTAでの渡米もB-1ビザでの渡米も、米国内で可能な活動内容は変わらない

・1回の滞在は短期間でも頻繁な渡米の必要性がある場合には、取得しておくと安心

エンジニアとしてのB-1ビザ

・日本等米国外で製造された装置、機械等を米国企業等に納品する場合

・装置、機械等のインストール、試運転、メンテナンス等のためのエンジニア

・米国企業との売買契約書の中に、エンジニア派遣について明記されていることが必要(最重要ポイント!)

B-1 in lieu of H-1B

・H-1Bビザという専門職用の就労ビザの代わりのBビザ

・数か月~半年程度のプロジェクト等での米国派遣に最適

・H-1Bの要件を満たす必要あり(原則、大卒以上だが、専門性の高い職務経験が長ければ、高卒でも取得できる可能性あり)

E-tdy

・Eビザ企業登録済みの場合(Eビザ保持者がいる場合)に利用可能

・就労ビザの一種のため、就労は問題なく可

・数か月~1年程度のプロジェクト等での米国派遣に最適

・現地法人に転籍せず、日本法人に所属したままで可→給与の源泉は日本

特にありがちな勘違いは、ESTAは観光でしか使えないが、B-1ビザがあれば働けるし、長期間米国に滞在できるというものです。ESTAとBビザでは確かに最大滞在可能期間が大きく異なりますが、米国で可能な活動内容に差異はなく、就労もできません。ミーティング、契約交渉、市場調査等であれば、もちろん就労とはみなされませんが、これらの目的のために3ヶ月滞在したいというような主張は就労を疑われるため、通らず、入国拒否になるケースが多発しています。コロナの影響もあり、オンラインでのミーティングが難なくできるようになった現代において、常時対面でのミーティングの必要性はなかなか認められなくなっています。したがって、ESTAや通常のBビザでの渡米で、数か月以上の滞在希望を入国審査の場で申し出ると、その場で別室送りとなってしまうケースが多いようです。

どのビザカテゴリーが最適かを判断するためには、米国での活動内容、派遣元及び派遣先企業のご状況、ご申請者のバックグラウンド等詳細をお伺いする必要がございます。短期間の米国出張が必要な場合には、ぜひ弊社までご相談ください。