こんにちは。行政書士の髙田です。会社を設立し「経営・管理」の在留資格を取得するためには、日本において事業所を確保することが必須となりますので、事業所をどこに構えるかは非常に重要なことです。

最近では、テナント事務所だけでなく、レンタルオフィス、シェアオフィス、コワーキングスペース、バーチャルオフィスといった、様々な形態のオフィスを利用することができます。では、「経営・管理」のビザを取得するために、事業所の要件を満たすためには、どのような事業所を構えればよいのでしょうか。

レンタルオフィスはテナント事務所と異なり、オフィス家具やコピー機などの設備、Wi-Fi、会議室などのサービスがあらかじめ備えられています。レンタルオフィスには、個室のタイプの占有スペースがあり、これを事業所(事務所)として利用して「経営・管理」のビザを申請することは可能です。

一方、シェアオフィスやコワーキングスペースと呼ばれているオフィスは、複数の人が同じ空間で仕事をする共用タイプのオフィスのことを言います。独立したスペースで経営に係る業務を行うことができないので、経営・管理のビザを取得することはできません。

また、バーチャルオフィスは実際のオフィススペースを持たず、住所と電話番号を借りることができるだけのオフィスです。電話にはオペレーターが対応し、郵便物は転送されるなど、実際の経営・管理を行う場所ではありません。そのため、バーチャルオフィスを事業所(事務所)として「経営・管理」のビザを申請することはできません。

入管審査要領によると、審査のポイントとして事業所の「事業所の存在・確保」が必須であり、事業は継続的に運営されることが求められることから、以下が留意事項として挙げられています。

・使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であること。

・賃貸借契約者が、申請に係る法人等の名義であり、当該法人等によって使用されること。

・月単位の短期間賃貸スペースを利用する場合や、容易に処分可能な屋台等の施設を利用する場合には、それを合理的とする特別な事情がない限り、要件に適合しているとは認められない。

また、審査においては、事業所(事務所)として適切であるかは、以下のポイントに基づき個別に判断がなされます。

①一定以上の広さが確保されているか 

②他の部屋と明確に区切られた独立したスペースが存在するか 

③壁やドアなので他の部屋と区切られているか 

④会社の看板・標識があるか 

⑤郵便受けがあるか 

⑥デスク、パソコン、電話、コピー機など、事業を行う上での必要な設備が整っているか

申請の際には、賃貸契約書や不動産登記簿謄本の他に、上記のポイントを立証するために、見取り図、事業所(事務所)の写真などの提出が必要になります。

 また、「経営・管理」の在留資格を取得した後に事務所を移転した場合、「経営・管理」の在留期間更新申請の際にも、賃貸契約書や不動産登記簿謄本、見取り図、事務所の写真(看板、郵便受け、事務所内)等の提出が求められます。常に事業を行っている場所が事業所(事務所)として適切であるかを審査されますので、ご留意ください。