こんにちは。行政書士の髙田です。最近は、個人でもネット販売を始める人が増えていて、ちょっとしたネット販売から副収入を得たいというお話を外国人のお客様から聞くこともあります。特にコロナ禍の時には、勤めていた会社を雇い止めなってしまい、ホームページを立ち上げて自分の作った雑貨を売りたい、母国のコスメを売りたいという相談をされることがありました。ネット販売とまではいかなくても、私もメルカリのアプリを使って不要品をアップロードし、思いがけず売買が成立して嬉しい気持ちになることがあります。果たして、外国人の方にとっては、これらは認められる活動なのでしょうか?


 日本で在留する外国人は、在留資格によって、日本での活動内容が制限されています。例えば、最も多い「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、オークションサイト(ヤフーオークション、メルカリなど)で自分の物を出品する場合には、それは、不用品をネットを通して売るという行為であり、商売として行うものではないのであれば、問題はありません。しかし、それが不用な物を売るという範囲を超え、他人から仕入れて転売し営利の目的で継続的に販売をする場合は、事業を行なっていることになり問題となってしまいます。オークションサイトを利用することにとどまらず、自分でホームページを立ち上げてネット販売を運営する場合には、「経営・管理」の在留資格を行う必要があります。つまり、個人事業主として「経営・管理」を取得して本気で商売を行わなければなりません。一般的には税務署へ「個人事業の開業届」の届出を行い、帳簿をきちんとつけて、事業所得(売上から経費を引いた額)について、毎年、確定申告をする必要が生じてきます。
 いやいや、そこまで本格的に収入を得るつもりはないよ、メインの仕事の他に土日に空いた時間を使って自分のホームページから物を販売して副収入を得たいだけから、「資格外活動許可」を得ることができればOKなのではと考えている方もいらっしゃるかもしれません。


 例えば、留学生や家族滞在の在留資格を持つ外国人であれば、「資格外活動許可(包括許可)」を得て週28時間以内であれば風俗営業等に関係することのないアルバイトをすることができますので、ネット販売の個人事業を行う場合には、一般の「包括許可」ではなく、「個別許可」を受けることができれば可能です。入管側としても、個人事業主として活動する場合には、客観的に稼働時間を確認することが困難であるため「包括許可」で認めるわけにはいかないのでしょう。「個別許可」を得ずにネット販売の運営を行なった場合には、在留資格が取り消しの対象になったり、在留資格の更新において不許可になったりすることもありますので、十分に注意をしてください。https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00004.html

 一方、就労資格(技術・人文知識・国際業務、教育、技能等の専門的な知識や経験に基づく仕事に対して認められる)を持つ外国人が「個別許可」の資格外活動許可申請を行なってネット販売の運営を行おうとしても、その活動は単純労働に該当する可能性が高く、許可を得ることは難しいです。
 自分のホームページ上でネット販売を運営・管理するには、「経営・管理」を取得して本気で商売を行わなければなりません。つい気軽な気持ちで行ってしまうと、在留資格取り消しの対象となったり更新ができなくなり本業を失うリスクもありますので、どうかお気をつけください。