こんにちは。行政書士の髙田と申します。近年、国際結婚をするカップルが増えてきましたね。今回は、外国人の方が日本で結婚する場合の戸籍=Family Register と氏=Family Nameについて、お話をしたいと思います。

・日本人同士が結婚する場合

日本人同士が結婚するときには、男女二人の婚姻の意思が合致すれば、婚姻届を市区町村役所に提出することで、結婚することができます。そして、男女どちらの氏を称する(名乗る)かを決め、一夫婦一戸籍の原則に基づき、原則として、氏を称する側が戸籍の筆頭者となり新戸籍が編成されます。また、戸籍は、1.氏を称する者 2.配偶者 3.子の順番で記載されます。

・日本人と外国人が結婚する場合

では、日本人と外国人が結婚する場合には、戸籍と名前はどうなるのでしょうか。結婚の相手が日本国籍を持っていない外国人である場合には、その外国人配偶者が戸籍に入ることはありません。しかし、市区町村役場に婚姻届出を提出すると、日本人がもともと戸籍の筆頭者となっていない場合は、その日本人の新戸籍が編製され、外国人配偶者の名前は身分事項欄に記載されます。外国人と日本人が結婚する場合には、日本人の氏も外国人の氏も変わらず、二人とも結婚前と同じ氏を名乗ることになります。

日本人が外国人配偶者の氏を名乗りたい場合 

日本人が外国人配偶者の氏を名乗りたい場合には、婚姻の日から6ヶ月以内に届出(氏の変更届)(戸籍法107条2項)を提出すれば、戸籍上、外国人配偶者の氏に変更することができます。例えば、髙田花子がトム クルーズと婚姻をし、氏の変更届を提出すると、髙田花子からクルーズ花子になります。婚姻の日から6ヶ月を過ぎている場合には、氏の変更の申立書を家庭裁判所に提出し許可を得なければなりません。

外国人が日本人の氏を名乗りたい場合

 ①通称を取得したい場合

一方、外国人が日本人配偶者の氏を通称として名乗りたい場合(トム クルーズが髙田トムと名乗りたい場合)には、「通称記載申出書」を市区町村役場に提出し認められることが必要になります。その場合、身分証明書の他に記載を求める通称が、国内において社会生活上通用していることが分かる資料(学生証、社員証など)を求められます。(市区町村によって必要書類は異なりますので、ご確認ください。)認められると通称は在留カードには記載されませんが、住民票に記載されます。在留カードの名前は変わらないので、入管への届出は不要です。

 ②本名を変更したい場合

単なる通称ではなく、パスポートに記載される本名を変更するには、本国の役所・裁判所または在日大使館にて本名を変更する手続きを行います。(※日本人が本名を変更するには、家庭裁判所の許可が必要です。)パスポートの本名が変更された場合は、在留カードの名前も変わるため、変更後14日以内に入管に「記載事項の変更届」の届出をしなければなりません。

・外国人同士が結婚する場合

次に、外国人同士が日本で結婚する場合には、日本人が届け出るのと同じ婚姻届を市区町村役場に届け出て、両当事者の本国法に定められた婚姻の要件が備わっていると認められ、届出が受理されれば有効な婚姻が成立します。(その際、婚姻要件具備証明書とその日本語翻訳等が添付書類として求められます。)なお、両当事者が日本にあるその国の大使館又は領事館にその外国の方式により婚姻届出をした場合には、日本の市区町村役場への届出は不要となります。

婚姻届を届け出ても、婚姻する両当事者が外国人の場合には戸籍は作られません。

しかし、婚姻届は、外国人の身分を証明する重要な書類として、受理された市区町村で50年間保管されます(戸籍法施行規則50条)ので、証明書が必要な際には、届出の受理証明書や届出書の記載事項証明書として、その交付を請求することができます。