こんにちは、行政書士法人IMSの松井です。

新年度を迎えて1週間、年度末の慌ただしさから解放されたと思いきや、ゴールデンウィークやゴールデンウィーク明けに渡米したい、ベトナムに行きたいという方や企業のご担当者からのお問い合わせが増えております。ビザ申請は想像以上に手間と時間が掛かります。ご予定のある方はすぐにでも準備を開始されることをお勧めいたします。

さて、「ビザ」と一口に言っても、各国によって求められる書類は様々です。これは、それぞれの国が独自の基準で出入国管理制度を定めているためです。稀にビザ申請において、「犯罪経歴証明書」を求められる場合があります。本日はこの「犯罪経歴証明書」について、ご案内させていただきます。

犯罪経歴証明書の取得方法

犯罪経歴証明書とは、無犯罪証明書、渡航証明書とも呼ばれます。どれも同じものを指します。海外の公的機関(大使館、領事館、移民局等)から求められた場合に申請取得可能です。

・申請先:各都道府県の警察本部(東京なら警視庁、千葉県なら千葉県警)

・申請できる人:例えば、①警視庁に申請できるのは、東京都に住民登録している人

            ②海外在住の場合、最終の住民登録が東京都だった人

・申請料:無料

・申請時の注意事項:指紋採取があるため、必ず本人が警察署に出向く必要があり。

・必要書類(当該都道府県に住民登録している場合)

①有効期限内のパスポート原本

②氏名及び住民登録地が確認できるもの(マイナンバーカード、運転免許証、在留カード等)

③証明書発給の必要性が確認できるもの(大使館からのレター、辞令、ビザ申請書等。要求国によって異なるため、要事前の問い合わせ)

・受け取り:申請日から約2週間程度、委任状による代理受領可

・受け取り後の注意事項:厳封されているため、別途指示がない限り、原則、開封せずに提出機関に出す。

具体的事例

【米国】

・移民ビザ申請の場合には必須

・非移民ビザ申請の際には、大使館・領事館から求められた場合にのみ提出(その場合には、領事からのレターを警察本部に提出)

【ベトナム】

・労働許可証申請の際に必須(各警察本部により、要求される書類が微妙に異なるため、要事前の問い合わせ)

・証明書取得後、外務省での公印確認及び在日ベトナム大使館での領事認証 (日本の書類をベトナムで使用するための手続き)が必要

【日本】

・在留資格「定住者」のうち、日系3世の在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請等において、本国の機関から発行された犯罪経歴証明書の提出が必要

【カナダ】

・ETA(ビザなしプログラム)申請では不要

 ただし、ETA申請の審査過程で、提出を求められることあり。

⇒ETA申請で犯罪経歴証明書を求められた場合には、通常申請では発行されず、「特別発給」の申請が必要(通常の申請では同証明書は求められないため、発給の可否について、「警察庁」が審査する。

特別発給

・申請先:外務省領事局⇒外務省が取り次ぎ、警察庁に書類を送る。

・必要書類:外務省宛ての取次依頼書、根拠文書(証明書要求についての関係法令)、確認文書(当局からのレター等)及びその和訳文

・審査期間:警察庁における審査は早くて3-4週間。場合によっては数か月掛かる場合もあり。

      ⇒警察庁が発給すると判断した場合には、申請者に直接連絡あり。その後、住民登録をしている警察本部にて申請⇒1-2週間で発行

なお、犯罪経歴証明書においては下記のような場合には、犯罪経歴を有しないとみなされます(代表例)。

  1. 刑の執行猶予判決を受け、取り消されることなくその猶予の期間を経過しているとき。
  2. 禁錮以上の刑の執行が終わり、10年を経過しているとき。
  3. 罰金刑を受け、5年を経過しているとき。

とにかく、ビザ申請等の過程において、犯罪経歴証明書を求められた場合には、お住まいの警察本部に必要書類等を確認の上、お早目に申請取得なさるようにしてください。ベトナムのようにその後の手続きが必要だったり、カナダのようにとんでもなくお時間を要する場合もあります。

上述のように犯罪経歴証明書自体の申請はご本人でないとできませんが、代理受領や認証手続きについてはIMSでも可能な場合がありますので、必要に応じてご相談ください。