皆さま、こんにちは。IMSの下山です。
あっという間に11月も終盤…あと1か月で2022年も終わると思うと、本当に時間が過ぎるのはあっという間だと感じます。

さて、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度を見直すため、政府は22日に外国人受け入れ制度の改定を検討する有識者会議を設置すると決定しました。年内に初会合が開かれ、具体的な議論が始まります。
この有識者会議については、古川禎久元法相が7月に設置を表明しており、2023年春に中間報告書を出し、同年秋に最終報告書をまとめる方向のようです。

この決定を受けて、松野官房長官は関係閣僚会議「外国人材の適正で円滑な受け入れの実現に向けて連携を強化し、各種施策に取り組んでほしい」と述べています。
技能実習制度を巡る問題については弊社ブログ・YouTubeでも何度も取り上げていますが、「外国人実習生を受け入れ、日本の技能を彼らの母国へ技術移転することでその国の経済発展に寄与する」という建前と、実際は国内の人手不足を補う安価な労働力の確保、という実態が乖離している現状があり、実習先では人権侵害や賃金不払いといった問題が度々起こっています。

この建前と本音が乖離していることについて、古川禎久元法相も日経新聞に対して「1993年に導入した技能実習制度は本来、外国人への日本の技術の供与や教育が目的だった。しかし実際は多くの企業が労働力確保のために使っている」と語られています。
それでは具体的にどのように改定を進めていくかについて古川氏は、「技能実習制度と2019年に始まった特定技能制度の2つの制度を一本化し、技能実習は廃止することが選択肢になる」と述べ、続けて、「技能実習制度は日本語や技能が未熟な人にとっての入門編の役割を果たしてきた。これからは『特定技能0号』のような新たな位置付けを設けるのも一案になる」と話されています。

ただ、こういった意見に対し、NPO法人「日越ともいき支援会」の吉水代表理事は、単に2つの制度を一本化しただけでは問題は解決しないとして、政府の有識者会議は現場の実態調査をし新制度に反映すべきだと指摘されています。

一方、技能実習制度における監理団体に関して古川氏は同紙に対して、「政府が許可した団体は全国でおよそ3600あり、数が多すぎるという課題もある。制度改定にあわせ機能を果たしている200~300程度の団体を選び直す。こう提起したい」と話されています。この問題に関しては吉水氏も「技能実習制度で監査の役割を担うはずの監理団体が受け入れ企業と一体運用するケースが目立ち、賃金不払いの原因にもなっている。」と指摘。両氏ともに監理団体に対し改善を求める意見を出されています。
特定技能制度における登録支援機関についても改善を求める声があがっており、吉水氏も「登録支援機関を設けたものの、本人に一定程度の日本語能力がないと支援の申し出が難しい。制度の利用者の能力や企業とのマッチング、勤務状況などを一括で把握する機関を設けるべきだ。」と話されています。

技能実習で在留する人は22年6月時点でおよそ33万人。特定技能は9万人程度となっています。2つの制度についていよいよ本格的な見直しに入ろうとしていますが、一体どこまで改善を図ることができるのか。今後の動きを注視していきたいと思います。