こんにちは。行政書士法人IMSの李でございます。

前回ご案内させていただいた、永住許可申請の際の注意すべきポイント①に引き続きまして、本日は永住許可に関するガイドラインの「1.法律上の要件」の(3)国益条件の公的義務の部分についてご紹介させていただきます。 公的義務に関しまして、弊社で永住許可申請を代行する場合、納税、保険料納付について滞納や未納がないかを事前にご確認させていただくことが多くございます。永住権を取得し日本社会の構成員としてこれから日本で生活していくことが前提ですので、公的義務を履行できるものかどうかを判断する上で、この点は入管での審査でかなり重要なポイントとなります。永住許可に関するガイドラインにある「2 原則10年在留に関する特例」に該当する人以外は、住民税の直近5年分の納付が未納、遅滞なく行われていなければなりません。配偶者ビザ、高度人材ポイント70ポイント以上の方であれば、住民税に関しては直近3年分、高度人材ポイント80ポイント以上であれば直近1年分の納付が確認対象となります。年金保険料や医療保険料に関しては直近2年分(高度人材ポイント80ポイント以上であれば、1年分)です。その間に未納がある場合等は、その未納分を納付しそこから2年は経っていることが望ましいかと存じます。またその際に未納や遅滞なく今後保険料等を納付する意思の表明という観点から、口座振替納付の方法を選択いただくことにより今後未納や遅滞が起こる可能性が少ないことを間接的に示すことができます。

またこの年金保険料や医療保険料に関しまして、弊社でご相談を受けたケースで気を付けていただきたいポイントがございますので、ご案内差し上げます。

ポイント①

海外からの一時的な派遣(5年以内)で日本に就労ビザで来られる場合、あるいは日本の就労ビザを持ちながら他の国でもビジネスを展開されている個人事業主または会社経営者の方の場合、年金保険料や医療保険料の未加入が問題になることが度々あります。

海外の企業から派遣で日本に来られている場合、海外での年金保険料や健康保険料を支払っているので、日本で年金や健康保険に加入しないという方がいらっしゃいます。確かに、このような状況の場合、海外での社会保険制度に加入しているので、日本の社会保険制度との保険料と二重負担になってしまうことになります。そのような保険料の二重負担を防止するため、社会保障協定というのが二国間で結ばれているのですが、協定相手国でない場合や、協定相手国から派遣されていてもその国の国籍保有者や永住者でない場合等は、この協定の該当者とはなりません。詳しくは、日本年金機構のサイトもご参照くださいませ。

例えば、米国から派遣されて日本でお仕事をされている場合、米国籍の方(と条件を満たす米国の永住者の方)は、社会保障協定により、日本での社会保険制度に加入する義務を免れます。永住許可申請をする場合、免除されているという証明を提出する必要がございます。その証明として提出するものは米国ですと社会保障局が発行する「適用証明書(Certificate of Coverage)」となります。こちらを提出できる場合は、日本の社会保険制度に未加入であっても、問題は生じません。米国の場合、健康保険に関しましては一部の対象者以外は、民間のサービスを利用するのが通常ですが、その適用証明書は、米国での年金制度の加入だけではなく、民間の健康保険に加入している旨も証明書に記載されています。

同じように米国から派遣されていても、アメリカ国籍ではなかったり、条件を満たした米国の永住者でない場合、米国の雇用先で、民間の健康保険に加入していても、海外に派遣される際に米国の社会保険制度から脱退していると、この適用証明書の発行ができないという事態になります。適用証明書が発行されない場合は、社会保障協定の該当者ではないということになり、いくら海外の雇用先で長期障害者保険、生命保険、傷病・疾病等全て100%カバーされている健康保険に加入していたとしても、日本に入国後、国民年金と国民健康保険に加入していなければ、公的義務を果たしていると見做されません。

弊社でお客様を対応している中で、度々、保障の手厚い海外の健康保険に加入しているから、日本の国民健康保険には加入する必要がないとご説明をされる方がいらっしゃいます。適用証明書が発行される社会保障協定の該当者でない場合は、この理由では残念ながら永住許可申請では不許可となってしまう可能性が高いです。永住許可申請をお考えの方で、国民年金には加入しているが、健康保険は海外のものがあるからという理由で国民健康保険に未加入の方は注意が必要です。日本では国民年金と国民健康保険の加入は義務でございますので、今後永住をお考えの方で、上記適用証明書が発行されない場合は、すぐにご加入いただくことをお勧めいたします。また、海外からの派遣の方に限らず、個人事業主の方は、国民年金、国民健康保険に加入する必要がございますので、この点は同様で注意する必要がございます。

少々長くなりましたが、ポイント②(転職や離職の際に生じる注意ポイント)に関しましては、また引き続き次回ご案内さしあげたいと存じます。

弊社では多様な国籍のお客様にサービスを提供させていただいておりますので、様々なケースに応じたご相談をお受けすることができます。永住許可申請についてご不安な点等ございましたら、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。