皆さま、こんにちは。IMSの下山です。
ゴールデンウィークも近付き、旅行のご予定など計画されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

文部科学省(以下、文科省)は先月25日に「令和3年度の外国人の子どもの就学状況等の調査結果(調査時期:昨年5月)」を公表しました。
この調査は、文科省が全国の外国人の子どもの就学実態を把握するため、全国の市区町村の教育委員会を対象に行っているもので、第1回調査は令和元年に行われました。
今回の調査によりますと、住民基本台帳上で学齢相当の外国人の子どもの人数は133,310人。そのうち不就学の可能性があると考えられる子どもの人数は約10,046 人と、前回調査から9,425 人減少したものの、約1万人の子どもが適切な教育を受けていない可能性があることが分かりました。

約1万人の内訳を見ると、以下のとおりとなっています。
■「不就学」であることを確認した子どもの数:649人
■連絡がとれず「就学状況が把握できない」子どもの数:8,597人
■教育委員会が就学状況の確認を試みておらず「就学状況が不明」な子どもの数:800人

外国人の子どもには日本の義務教育への就学義務はありませんが、公立の義務教育諸学校へ就学を希望する場合には、国際人権規約等を踏まえ、教育の場を無償で提供することとなっています。
文科省は外国人の子どもが就学の機会を逃すことのないよう、全国の教育委員会へ様々な呼びかけをしています。具体的には①外国人の子の就学についての広報・説明を行う(口頭での説明、多言語対応の就学ガイドブックの配布等)、②住民基本台帳等に基づいて学齢簿に準じるものを作成するなどして、就学に関する適切な情報管理に努める、等。ですが、今回の調査結果からみても、「全ての外国人の子どもに日本人と等しい教育を」という理想の状況には至っていないことが分かります。

少し前に話題になりましたが、大阪市のある小学校では、学校から配布されるプリントを「やさしい日本語」で作成しているそうです。確かに、外国人の親が日本語をうまく理解できないご家庭もあるでしょうし、外国人に優しい素敵な取組みだと思います。
この提案をした元校長によると、この取組みによって親がプリントを見てくれるようになり、また子どもも書かれていることが理解できるので、連絡もれが減り、土曜授業の欠席や忘れ物も減ったそうです。
(おまけに簡潔な表現であるため、忙しい日本人の保護者にも喜ばれたとのこと)
このように学校独自で外国人の子どもを取り巻く問題に取り組んでいるところもあり、このような学校が増えていけば、外国人の親・子どもにとっても教育の場が居心地の良いものになっていくのではと思います。

教育は子どもの未来を育む大切なものであり、教育を受ける権利は社会によって守られなければなりません。それは日本人も外国人も同じです。
入管へ行くと小さな子どもをたくさん目にします。彼ら・彼女らへの教育の機会が奪われることのないよう、今後も文科省・地方自治体が引き続きこの問題に真剣に取り組むことを切に願います。