Eビザ、Lビザ帯同家族の就労許可証

こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

マスク生活は続いているものの、3年ぶりの行動制限がないゴールデンウィークですね。近場の行楽地向けの電車の混雑ぶりに驚いていますが、明るい兆しで何よりです。

さて、本日は米国への駐在員ご家族の就労許可について、昨年末から今春にかけて大きな動きがあったので、お伝えさせていただきます。米国にご赴任なさる方のビザと言えば、EビザあるいはLビザが大半を占めます。これらの就労ビザに帯同なさるご家族には下記のようなビザカテゴリーが付与されます。

E-1(貿易)ビザの家族⇒E-1ビザ

E-2(投資)ビザの家族⇒E-2ビザ

L-1ビザの家族⇒L-2ビザ

FビザやJビザも帯同家族はF-2、J-2ビザとなりますので、Lビザと似たような仕組みですが、Eビザだけは赴任者ご本人とご家族のビザカテゴリーがなぜか全く同一です。まずは、帯同家族がどのようなビザカテゴリーに該当するのかを押さえておきましょう。

EビザやLビザの帯同配偶者が、米国で働こうとする場合、たとえ、パートやアルバイトであっても、これまではビザとは別に就労許可証(EAD:Employment Authorization Document)の申請・取得が必要でした。$410の申請料が掛かる上、審査期間が半年以上に及ぶこともあり、折角のオファーがあっても、就労の機会を逸してしまうケースもこれまであったかと思います。

2021年11月12日、USCIS(米国移民局:U.S. Citizenship and Immigration Services)及びCBP(米国税関・国境警備局:U.S. Customs and Border Protection)は、とある訴訟を和解することで合意に達しました。この和解案により、Eビザ及びLビザの帯同配偶者はその有効な非移民資格に基づき、雇用許可を得ている(就労することができる)とみなされることになりました。ただし、これまでと同様、EビザやLビザに帯同する子供については、就労が許可されないため、配偶者と子供を区別するためのシステム化が待たれておりました。本年1月30日以降、USCIS及びCBPにおいて、順次、新たな方式によるI-94(出入国記録情報)が発行され、帯同配偶者と子供を区別できるようになりました。

新たな方式によるI-94は下記のような記載がされます。

  • 配偶者:E-1S, E-2S, L-2S
  • 子供:E-1Y, E-2Y, L-2Y

これにより、I-94上で、Sが付いていれば、EADを取得することなく、就労が可能となりました。子供はSと区別するためにYが付くようです。3月の時点では、ハブ空港等では既にシステム化がなされ、S付のI-94を得られた弊社お客様がいらっしゃいましたが、L-2Sは出たものの、E-2の方はSが付かなかったというようなこともありました。

I-94は米国への入国時に記録が書き換えられますので、Sを得るために、一旦、米国から出国して、再度、米国へ戻った方もいらっしゃったかもしれません。ただし、どこの空港であれば、確実にS付きとなるかは情報がない状況でした。

USCISでは、2022年1月30日以前に発行された有効なI-94を所持している場合には、4月1日以降、USCISが通知を郵送するとアナウンスしています。その通知と有効なI-94でもって就労資格の証明が可能となるようです。

なお、EビザやLビザの帯同配偶者が、企業等の求めに応じ、EADを申請取得することも引き続き、可能です。

駐在員のご家族にとっては、朗報ですね。ただし、就労される前にI-94上で、S付のカテゴリーになっていることをしっかりと確認なさってください。また、しばらくの間、帯同配偶者の方が米国に入国する際には念のため、戸籍謄本(及び英訳)や婚姻証明書を所持しておくことをお勧めいたします。