こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。
専門学校を卒業した外国人留学生が就職しやすくなったとか就職先が拡大されたとかでいろいろと注目を浴びていますが、具体的にどのように緩和されたのか、ご説明したいと思います。
さて、世の中で一般的に呼ばれている「専門学校」のことですが、入管法等では「専修学校」という用語が多く使われているため、まずは「専修学校」と「専門学校」について、簡単に説明したいと思います。
日本の学校教育法では、「専修学校」は修業年限1年以上、年間授業数800時間以上、常時40名以上の学生が在籍している教育施設であることと定められています。 また「専修学校」の中には、「高等課程」「専門課程」「一般課程」の3つの課程をおくことができ、このうち「専門課程」をもつ専修学校のことを「専門学校」といいます。
専門学校を卒業すると「専門士」又は「高度専門士」※の称号が付与されます。また、外国人留学生が日本の専門学校を卒業して就労ビザを取得するためには「専門士(又は高度専門士)」の称号が必要なため、基本的には修業年限が2年の専修学校の専門課程(専門学校)を卒業する方が多いイメージになります。
※「専門士」・「高度専門士」についていは、以下文部科学省ページをご確認ください。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/senshuu/1382378.htm
それでは、上記の専門学校を卒業した外国人留学生の就労ビザの取得緩和策について、ガイドライン等2024年2月に改定され、すでに運用が始まっていますが、詳しく見ていきたいと思います。
主に在留資格「技術・人文知識・国際業務(略して、技人国)」と「特定活動(46号)」において緩和されたわけですが、従来とどのように変わったのか、以下表でまとめみました。
表の通り「技人国」ビザでは、「専攻科目との関連性について柔軟に判断する」「総合的に判断する」と言った内容に緩和された形ですが、「認定専修学校専門課程」を卒業した否かで異なる運用になります。
つまり、「認定専修学校専門課程」を卒業した場合は、大学・大学院卒業と同様に柔軟に判断されることになりましたので、改正前に求められていた専攻科目と業務内容が、一致しなければならないとか強い関連性が必要だとかといった要件が不要になります。しかし、卒業したのが「認定専修学校専門課程」でない場合は、改正前のような専攻科目と業務内容との強い関連性までは求められませんが、「履修内容全体を見て、従事しようとする業務に係る知識を習得したと認められるような場合においては、総合的に判断した上で許否の判断を行っているほか、関連性が認められた業務に3年程度従事した者については、その後に従事しようとする業務との関連性については、柔軟に判断する。」といった具合となりました。
一方、「特定活動(46号)」ビザでは、そもそも改正前は日本の大学・大学院卒業者に限定されていましたが、今回の改正で日本の「認定専修学校専門課程」卒業者や短期大学卒業者等が新たに追加されました。また「技人国」ビザとは違い「認定専修学校専門課程卒業+高度専門士」での条件となりました。「高度専門士」を取得するには4年以上の修業が必要ですので、この辺は緩和されたといっても、果たして外国人留学生の中に就業年限4年以上の「高度専門士」を目指している方がどれだけいるかという疑問が残ります。
以下、入管庁公表資料をご参考ください。
●「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html
●留学生の就職支援に係る「特定活動(46号)」(本邦大学等卒業者)についてのガイドライン
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00038.html
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