こんにちは。行政書士法人IMSの伊東です。
11月に入っても夏日が記録されましたが、ここ数日は急に気温が下がっています。体調を崩されないよう、お気をつけください。
父親が日本国籍で母親である外国籍の方が出生したお子様は両親が持つ国の法律に基づき、国籍を取得することになります。両親の片一方が日本人であり、両親が婚姻関係にある場合には、日本国籍を取得することができます。両親が婚姻関係にない場合には、出生した子が出産した方の子という事実があるため、基本的には、母親の国籍が子の国籍になります。
両親が婚姻関係になく、父親が日本人の場合に、出生した子が日本国籍を取得することはあるのでしょうか?
お子様が日本国籍を取得できる方法は、父親の認知です。
認知の方法として、①胎児認知、②認知届による任意認知、③遺言による任意認知、④裁判認知、⑤死後認知があります。いずれの認知の場合にも出生時から父親の子であるとみなされます。胎児認知の場合には、出生時点で日本国籍を取得できます。出生時点で認知されていない場合には、当然のことですが、認知された後に国籍取得の手続きを行い、日本国籍を取得します。
父親の認知
- 胎児認知による任意認知
子の出生前に行う認知の手続きで、母親の同意が必要となります。
母親の本籍地の市区町村役場で行います。
- 認知届による任意認知
母親の同意なく、父親の意思のみで手続きを行うことができます。
父親又は子の本籍地、又は父親の居住地の市区町村役場で行います。
- 遺言による任意認知
生前、父が遺言に認知する旨を記載する方法です。
- 裁判認知
父親が認知しない場合、母親が裁判所で認知を希望する手続きを行います。まずは調停を行い、話し合いがまとまらない場合に、裁判が行われます。
- 死後認知
父親の死後3年以内に、父親が最後に住んでいた場所を管轄する検察庁の検察官を相手方として訴えを起こします。
父親に認知され、日本国籍を取得する場合には、『18歳未満であること』、『日本国民であったことがないこと』を満たす必要があります。
届出は本人が書面によって行いますが、15歳未満の場合には法定代理人が届け出ます。
お住まいが日本でも海外でも手続きを行うことができ、日本に住んでいる場合は、お住まいを管轄する法務局又は地方法務局、海外に住んでいる場合には、日本国大使館又は領事館で行います。
法務省のホームページ:https://www.moj.go.jp/MINJI/minji163.html
https://www.moj.go.jp/ONLINE/NATIONALITY/6-1.html
生地主義の国(アメリカ、カナダ、ブラジル等)で出生し、その国の国籍を取得した子が日本国籍の留保を行わなかった場合も国籍の取得に該当するのでしょうか?
国籍の留保を行わなかった場合には国籍の取得にならず、国籍の再取得(国籍法第17条第1項)になります。国籍の留保の手続きを行えば日本国籍を取得できた状況にあり、国籍の取得の要件である、『日本国民であったことがないこと』にはあたりません。『18歳未満であること』で『日本に住所を有すること』を求められます。『日本に住所を有すること』とは、生活の本拠が日本にあることをいい、観光、親族訪問等短期滞在で一時的に日本に滞在している場合には日本に住所があるとは認められません。そのため、在留資格「日本人の配偶者等」を取得し、来日後に手続きを行います。なお、日本は重国籍を認めていませんので、こちらの手続きを行った場合には、現在お持ちの国籍を失う可能性がある点にご留意いただくこととなります。
詳細については弊社ブログをご参照ください。
法務省のホームページ:https://www.moj.go.jp/ONLINE/NATIONALITY/6-5.html