「興行」ビザとは~基準省令や入管法施行規則の一部が改正され、2023年8月1日から施行

こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

先日の記事によりますと、日本の日本語学校卒業生の就職活動をしやくするため、日本語学校の要件を緩和するようです。海外の大学又は大学院を卒業した方が、日本の日本語学校を卒業し、かつ卒業した日本語学校が3年連続で留学生管理の「適正校」である場合には、日本で就職活動ができる在留資格「特定活動」を取得可能ですが、今回の緩和部分というのは、日本語学校の適正校である継続期間が「3年」から「直近1年」になるというものになります。政府は、2023年中にもまずは国家戦略特区を対象に運用を検証するようです。

さて、今回は「興行」ビザについて、ご説明したい思います。

「興行」ビザは、外国の文化に接する機会を提供し,文化交流を推進することにより国際理解を増進し,また,我が国の文化,スポーツの振興・向上等に寄与し,国民の娯楽としても有益なことなどによるとされており、演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動を行うために取得が必要なビザです。該当例としては、俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等があり、「興行」ビザも就労資格の一種です。また、これらの活動を行う上で重要な役割を担う芸能活動及び出演者が興行を行うために必要不可欠な補助者としての活動も該当します。例えば、プロスポーツ大会に参加するためのコーチはもちろん、通訳やトレーナー、マネージャー等の者も「興行」ビザの取得対象になります。

スポーツ界の場合、例えば、報酬や選手契約がない練習生の場合は「興行」ビザの対象にはなりませんので、短期滞在ビザでの滞在が可能です。練習生を経てプロ選手契約になれば、「興行」ビザの対象になりますので、認定申請を行うことになります。

また、日本がドラマ撮影のロケーションになっていて、俳優やカメラマン、スタッフの方が日本に来て撮影の活動を行う場合にも、「興行」ビザを取得しなければなりません。たとえ日本の機関と雇用関係がなく報酬も日本からではなく本国から支払われるからといって、短期滞在ビザで入国して撮影活動をしますと入管法違反になりかねますので注意が必要です。

【2023年8月1日から興行ビザの改正法が施行】

興行ビザの取得基準について、法改正が行われ、2023年8月1日から施行されています。旧基準には、1号、2号、3号、4号にて定められていましたが、新基準は、1号(旧1号と2号が統合)、2号(=旧3号)、3号(=旧4号)に変更されました。

新旧基準比較

【緩和内容】

今回の改正の大きなポイントは、以下2つがあります、

① 優良な契約機関への優遇
イベントなどの興行主催者側に過去の受入実績が3年以上あり、 また過去3年間報酬の未払いなどがない場合の海外の活動経験や会場要件が免除になるなど、要件が大幅に緩和されます。ただし、興行を行う対象施設は、風俗営業許可対象以外の店舗となります。

② リスクの低い受け入れへの優遇
外国人を新たに受け入れて興行活動をする場合に問題発生のリスクが低いと考えられる場合をふまえて、以下のように緩和されています。
×改正前:客席の定員数100人以上
●改正後:客席部分の収容人数100人以上(立ち見客カウント、ライブハウス興行OK)
×改正前:客席での飲食物提供&接待なし
●改正後:客席でなければ飲食有償提供認める (お酒含む飲食販売OK)
×改正前:滞在期間15日
●改正後:滞在期間30日に延長(長期ツアー企画と実施が可能)

上記のように、今回の改正では、主に海外のアーティスト、アイドルを呼びやすくなりましたが、それにしても、書類を集めたり入管への申請準備をしたり等入念なスケジュール管理や計画が必要です。

興行ビザについて、お悩みの方は、是非弊社にお問い合わせください。