高度専門職外国人の帯同家族のビザ

こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

2022年2月1日は、中国では旧正月になります。通常時であれば、大勢の中国人観光客が日本に来るはずですが、2020年からのコロナ禍の影響による入国制限のため、日本に来ることができなくなりました。一日でも早く、コロナとの戦いが終わり、通常時に戻ることを願っています。

さて、今回は、海外(シンガポール)在住の方からいただいたご相談内容について、ご説明したいと思います。

インド国籍の方が、現在はシンガポールで勤務されており、奥様と6歳のお子様、71歳のお母様とご一緒にシンガポールで滞在されているようです。東京に転勤の可能性あり、日本に来ることになるかも知れないとのことですが、お母様について、同伴するには方法等あるかというご相談をいただきました。

奥様とお子様については、日本の転勤先企業を通じて、本体者の在留資格認定証明書交付申請(以下、COE申請)と一緒に「家族滞在」ビザを申請すれば、本体者に同伴して来日することが可能です。しかし、お母様について、親の場合は在留資格「家族滞在」の対象ではありませんので、「家族滞在」ビザの申請は出来ません。

では、親を日本に呼び寄せて一緒に暮らすには、方法があるのでしょうか?また、どのようなビザを取得できるのでしょうか?答えは、方法はあります。また、取得できるビザは「特定活動(特定活動告示34号、告示外の人道的観点からの配慮によるもの)」というものになりますが、誰でも申請できるものではなく、申請可能なケースは限られています。

それでは、どのような場合に、どのような人が申請が可能なのか、ご説明いたします。

「特定活動」告示34号

まずは、「特定活動」告示34号についてですが、こちらは日本の「高度専門職」というビザで滞在している外国人が、高度専門職外国人と同居し、かつ、当該高度専門職外国人若しくはその配偶者の7歳未満の子を養育し、又は当該高度専門職外国人の妊娠中の配偶者、若しくは妊娠中の当該高度専門職外国人に対し介助、家事その他の必要な支援が必要な場合、親を呼び寄せることが可能です。世帯年収が800万円以上等要件がありますが、今回お問い合わせいただいた方の場合、高度人材ポイントが70点以上、年収等要件を満たして「高度専門職」の申請が可能であれば、6歳のお子様がいますので、こちらの「特定活動」ビザの申請が可能かと思います。ただ、7歳未満のお子様である必要がありますので、申請時にお子様が7歳になったら申請はできませんので、注意が必要です。また、例えば、来日後にお子様が7歳に達した場合は、親の「特定活動」ビザの更新は認められないことになります。

そして、こちらはあくまで7歳未満の子供の養育または妊娠中の者(高度専門職外国人本人又はその配偶者)への支援のために認められるものであって、長期的に日本に滞在するためのものではありません。

次に、「特定活動」告示外の人道的観点からの配慮によるものについてですが、こちらはかなりハードルの高いビザになります。「老親扶養ビザ」とも言いますが、言葉とおり、人道的観点からの配慮が必要ですので、これが認められた場合に限って日本の法務大臣が許可することになります。特に公表されている要件ではありませんが、親が高齢で、本国に扶養してくれる身寄りが誰もいない、経済的・健康的に自立が困難等の事情が必要です。他には、もちろん、日本に呼び寄せて扶養する者の経済的扶養能力も必要です。

また、こちらは告示外の「特定活動」ビザですので、就労ビザや前に述べた「特定活動:告示34号」ビザのようにCOE申請は出来ませんので、観光等短期滞在ビザで来日してから、日本国内で変更申請をすることになります。ただ、現在はCOVID-19の影響で観光等の短期滞在ビザが停止されていますので、現時点ではこちらのビザ申請は出来ないと思います。

日本には、在日外国人の親を呼び寄せて長期滞在するためのビザが存在しませんので、上記の方法が考えられますが、申請できる者が限られていたり、ハードルが高いのが現状です。