こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

日本でも、ついに2021年10月1日より、ワクチンパスポート(ワクチン接種証明書)の運用が始まることになりました。接種ワクチンの種類や対象国・地域によりますが、有効なワクチンパスポート(ワクチン接種証明書)を提出がある場合は、日本入国後の隔離期間の短縮措置が行われます。
詳しくは、以下厚労省の関連ページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00307.html

さて、スイスで2021年9月26日、同性婚の合法化の是非を問う国民投票が実施され、賛成が64.1%で承認されたようで、今後、法改正手続きを経て、同性婚が正式に認められる形となりました。

同性婚は2001年に世界で初めて、オランダで法的に認められ、これまでに29カ国・地域で同性婚は合法化されています。アジアでは唯一台湾で、2019年から同性婚が認められています。

そこで、今回は同性婚による配偶者と日本に在留するための在留資格について、ご説明したます。

通常、日本国籍の方と結婚した外国人配偶者には「日本人の配偶者等」、日本の就労資格や永住者、定住者等の在留資格を持って滞在している外国人の外国人配偶者には、「家族滞在」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格がそれぞれ与えられますが、日本では同性婚は認められていませんので、異性による法律に基づく婚姻関係でないとこれらの在留資格は与えられません。また、内縁の妻又は夫は対象にはなりません。

それでは、例えば、来日して働く外国人の方が、同性婚の配偶者を連れて日本で滞在するためには、どのような在留資格が当てはまるでしょうか。実は、こちらに当てはまる正式な在留資格はまだないですが、2013年5月のフランスでの同性婚法の施行等を踏まえ、「本国で同性婚をしている者について、その者が本国と同様に日本においても安定的に生活できるよう人道的観点から配慮し、同性婚による配偶者については,原則として、在留資格「特定活動」により入国・在留を認める。」といった内容で、2013年10月に法務省から入管宛に通知が出されており、在留資格「特定活動」を付与することになっております。

また、2021年5月17日付の読売新聞の記事によりますと、「政府は、同性婚が認められている外国で日本人と結婚した外国人同性パートナーに、日本での在留資格を認める方向で検討に入った。日本人が帰国した場合、パートナーに「特定活動」の在留資格を付与することを検討している。」ということです。

そして、上記の在留資格「特定活動」とは、いわば他の在留資格に該当しない活動の受け皿として、「法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格」のことです。また、活動内容については、予め法務省告示(数十種類あり)によって決められたものと告示によらない告示外の活動があります。

従って、同性婚の配偶者対する正式な在留資格はまだない状況ですので、告示外の「特定活動」として、人道上観点から、法務大臣が活動を指定して与えることになります。

ただ、「特定活動」の申請については、告示、告示外を含めて、その必要書類等全部が公表されているわけではありません。また、同性婚の配偶者のように、告示外で申請する場合、人道上観点からの配慮が必要となってきますので、許可を得るにはかなりハードルが高くなります。 上記のように、同性婚の配偶者について「特定活動」の在留資格が与えられますが、現状、同性婚を法律を持って認める国・地域が増えている中、こういった者が日本で滞在するためには、日本政府の更なる法整備が必要になってくるのではかと思います。