こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

 アメリカでは大統領選挙が大詰めを迎えております。トランプ大統領は、「Buy American and Hire American」という大統領令を出す等、この4年間、移民や非移民の外国人に対して厳しい政策を取ってきました。新型コロナ感染拡大の影響が大きかったものの、今もグリーンカード申請、Lビザ、Hビザ、一部のJビザ等の新規発給や新規入国は停止されたままです(なお、カリフォルニア州での訴訟にて勝訴した原告団にサポートされる場合のみ、例外的にこの制限が解除されています。)。現政権下では、入国審査もかなり厳しくなっているという声も良く聞かれます。

 しばしばお問い合わせをいただくのですが、過去に一度でもESTA却下歴、ビザ却下歴、入国拒否歴がある場合、現行法上ではその後一切、ESTAを使うことはできません。たとえ、それらの歴が「ない」としてESTAを申請しても却下となってしまうでしょう。運良く(?)ESTAが承認されたとしても、入国審査時に引っかかってしまう可能性が大いにあります。何より、10数時間も飛行機に乗って、ようやくアメリカに到着し、入国拒否になってしまっては時間もお金も無駄にしかなりませんので、そういった場合には虚偽申請などせずに、きちんとビザ申請をすることをお勧めいたします。

 最もお気の毒なケースは、会社に言われるがままに就労ビザを申請したり、ESTAで出張したりして、ビザが却下されたり、入国を拒否されてしまう場合でしょうか。申請者ご本人には責はないものの、こういったケースでもESTAは二度と使えなくなってしまうので、以後は観光の際にも必ずビザが必要となります。

 出入国管理政策は、どこの国でも時の政権の意向が強く反映されます。アメリカでもバイデン大統領が誕生すれば、現在の移民政策やビザの発給に関する運用などが大きく変わる可能性があります。もともとマイノリティを支持基盤とする民主党政権の場合、移民に好意的な政策がとられることが多い気がします。しかしながら、コロナ禍でもあり、どのような舵取りとなるのかは現段階では不透明です。とりあえず、年末までの措置とされているビザや入国を制限する大統領令がどうなるのか状況を注視したいと思っています。