こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

戸籍法の改正により、2024年3月1日から、本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で、戸籍謄本の請求ができる「広域交付制度」が始まります。詳細については、以下法務省民事局の案内をご覧下さい。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji04_00082.html

さて、今回は、在留資格の変更申請をした場合、どのタイミングで在留資格が変わるのかについて、説明いたします。

在留資格の変更申請が必要なケース

まずは、在留資格の変更申請が考えられる場合としては、以下のように様々なケースがあります。
① 大学等を卒業して就職するため、「留学」から就労資格への変更
② 大学で勤務いていた方が会社に転職するため、「教授」から他就労資格への変更
③ 会社で働いていた方が、会社を辞めて大学で勉強するため、就労資格から「留学」への変更
④ 「高度専門職」の在留資格で働いていた方が他社に転職するため、「高度専門職」から「高度専門職」または他就労資格への変更
⑤ 日本人や外国人永住者と結婚したため、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」への変更

上記以外にもたくさんのケースが考えられますが、個々人の状況に応じて在留資格の変更が必要か否かを検討することになりますので、お悩みの方はご相談ください。

在留資格変更申請のタイミング

次に、在留資格の変更申請が可能な時期としては「在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前」となっていますが、本来(従前の在留資格)の在留資格に基づく活動を継続して3ヵ月以上※行わないと在留資格取消し対象になるという法律の規定がありますので、注意してください。新規入社する場合や転職する場合は、入社日のおおむね3ヵ月前から変更申請をした方がよいでしょう。
※「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「高度専門職2号」の場合は、「継続して6ヵ月以上」となります。

在留資格はいつ変わるのか

それでは、出入国在留管理局(以下、入管)で在留資格の変更申請を行い、申請が許可された場合、どのタイミングで新しい在留資格に変わるのでしょうか?答えは、入管で結果を引き取った日(新しい在留カードを受け取った日)です。この日に、在留資格が変わり、その以前の在留資格(在留カード)は無効になり、また滞在できる期間も新しくスタートします。

また、入管で変更申請を提出したら在留資格が変わりますか?というご質問をいただく場合がありますが、変更申請を提出しただけでは在留資格が変わりません。①入管に変更申請を提出→②入管で審査を行い→③入管が許可通知書を送付→④申請人が入管で申請結果を引き取る→⑤入管で新しい在留カードをもらった日に在留資格が変わる、といったプロセスを経て在留資格が変わります。また変更申請中は本来の在留資格が有効で、引き続き滞在が可能です。

そして、変更申請が許可された後に、入管で結果を引き取る(新しい在留カードを受け取る)日について、申請人の状況によってはタイミングの調整が必要な場合がありますので、ご留意が必要です。以下に具体例で説明いたしますので、ご参考ください。

【具体例1】
在留資格「教授」で大学に勤務していた方が、会社に転職するから在留資格「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請をし、入管から許可通知が届いた場合

たとえば、20●●年3月31日まで大学勤務、4月1日から会社勤務予定
→20●●年3月20日に、入管に行って「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを引き取ってしまいますと在留資格「教授」は無効になりますので、3月21日からは大学で勤務できなくなります。ですから、このような事態を避けるため、「技術・人文知識・国際業務」の在留カードを引き取る時期を調整しなければなりませんので、有給休暇を利用したり1日遅れて入社したりするなど、大学や会社側と相談のうえ、調整した方がよいでしょう。また土日や祝日は入管でも業務を行っていませんので、こちらも考慮しないといけません。

【具体例2】
在留資格「留学」で大学等に在学していていた方が卒業をし、就職活動をしたり会社に就職したりして、在留資格「特定活動」や「技術・人文知識・国際業務」へ変更申請をし、入管から許可通知書が届いた場合

→留学生の中には国等から奨学金をもらっている方がおり、在留資格「留学」を保持していることが奨学金の支給条件となっている場合があります。
たとえば、20●●年3月23日に卒業、3月29日に入管に行って変更申請許可後の在留資格を引き取ってしまうと、在留資格「留学」が無効になって3月分の奨学金が受給できなくおそれがあります。ですので、奨学金の受給条件等について、事前に奨学金支給機関に確認してください。

上記以外で、例えば就労制限のない身分系の在留資格へ変更申請をした場合には特に問題になりませんが、就労系の在留資格で転職、かつ在留資格が変わることになる場合は要注意です。また「高度専門職1号」のイやロを保有している方が転職する場合、同じ職務内容だとしても、在留資格の変更申請を行い「指定書」にて指定されている所属機関の書き換えが必要で、状況によっては上記のように、入管で変更許可後の結果を引き取るタイミングを調整する必要があります。