こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

今回は、企業において、外国人材を採用する際、当該外国人材の方が就労のできる在留資格を取得する必要がある場合、外国人本人の状況からみて、就労資格の取得可能性があるかどうかをどのように判断すればよいかについて、入管法や実務上の在留資格の該当性や基準適合性、相当性の観点から、説明したいと思います。企業の採用担当や外国人本人にとっては、普段あまり聞かない言葉だと思いますが、在留資格の取得に際してとても重要です。

① 在留資格の該当性

入管法では、外国人が日本で行う活動を29種類の「在留資格」というカテゴリーに分けて規定しています。そして、日本でこの「在留資格」にあてはまる活動を行なう場合にのみ、外国人は日本に滞在することが出来ます。

例えば、海外から外国人材を呼び寄せる場合、その外国人材が日本で行おうとしている活動内容に該当する在留資格が規定されているか否かを確認し、合致していなければなりません。

身近な例で言いますと、企業でシステムエンジニアや通訳・翻訳、語学講師等として活動をしようとする場合、これらの活動をするための「在留資格」を認定してもらうことから検討します。この場合、入管法上ではこれらの活動内容で就労するための「技術・人文知識・国際業務」という在留資格を用意していますので、この場合、入管法はシステムエンジニア等として活動をするための在留資格を想定していることから「在留資格の該当性がある」というように判断することになります。つまり、日本で行う予定の具体的職務内容に基づいて判断することになります。

② 基準適合性

正式には「上陸許可基準」といい、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」という入管法の運用上の規定になります。

基準適合性とは、上記①で述べたように、在留資格の該当性があると考えられる外国人が、それを実際に申請して認定(許可)してもらうために満たしていなければならないとされる基準(要件、条件とも言えます)であり、これに適合しているかどうかを判断することを意味します。

例えば、翻訳・通訳としての活動内容で在留資格を申請するにあたっては、「従事しようとする業務に関連する業務について三年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。」という基準があります。この場合、実務経験が3年以上あるか大卒学歴であれば、基準適合性はあると判断できますが、実務経験が2年しかない、または海外の専門学校を卒業したなどの場合には、基準適合性がないとして申請が出来ないことになります。このように、在留資格にはそれぞれ省令にて基準が定められています。なお、全ての在留資格に基準が規定されているものではなく、「教授」、「文化活動」、「日本人の配偶者等」など一部の在留資格には基準がありません。詳しくは、「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令」をご参考ください。

③ 相当性

日本に在留している外国人は、必要に応じて在留資格の更新や変更申請手続きを行うことになりますが、日本に在留している外国人は日本での在留歴がありますから、変更や更新申請について、相当な理由があるかどうかについて、過去の在留歴から総合的に判断され、申請結果が決まります。

例えば、留学生なのに出席率が低いとか、報酬をもらって収入を得ているのに税金を納めていなとかなどは、在留歴が適当とは認められないことになります。このように、理由は申請人によってそれぞれではありますが、在留申請においてはこのような「相当性」という概念が存在し、入管の審査対象となります。そして、在留歴が良好でなく「相当性(適当と認めるに足りる相当の理由)」が認められない場合には、申請が許可されないなど不利益が生じることが考えられます。

外国人材の採用にあたり、採用してよいか、就労資格は取れるか、就労資格の申請手続きはどのように進めればよいか等について、不明な方はぜひ弊社にお問い合わせください。