こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

あらゆるモノのインフレが進んでいる昨今ですが、アメリカ非移民ビザも6月17日より値上げが予定されています。もともとは5月30日に値上げ予定でしたが、なぜか値上げ時期が5月末に突然変更されました。恐らく、面接予約のシステム改修が間に合わなかったものと思われます。

  • B、F、M、Jビザ:$160→$185
  • H、L、O、P、Q、Rビザ:$190→$205
  • Eビザ:$205→$315

ちなみに、この料金は値上げ前に申請公費の支払いが完了していれば、旧料金が適用されますので、近々申請予定がある方は6月15日までに支払いを完了させてしまうことをお勧めします(6月16日はシステム改修のため、支払いができなくなります。)。面接予約まで行わなくても、支払いさえ済ませれば大丈夫です。ただし、申請公費の有効期間は支払いから1年間ですので、いつ面接を受けるか分からない場合には、慌ててのお支払いはお勧めいたしません。

この中で、値上げ幅が断然大きいものは貿易・投資ビザであるEビザです。円安もあり、現在の米国大使館公示為替レートで換算しますと、実に28,700円から42,700円への値上げとなります。なぜ、Eビザのみ値上げ幅が大きいのかは不明ですが、基本的に米国は米国への投資を歓迎しています。そして、米国大使館ビザ課曰く、「日本でのEビザ申請者数が世界で最も多い」そうです。Eビザは、日本と米国の条約に基づく特殊なビザであり、米国移民局の審査を受ける必要がないため、きちんと要件を満たせば、確実に取得できるもので、「永住権に最も近い非移民ビザ」とも呼ばれています。

本日はEビザ申請にあたってのポイントをお伝えします。

まず、Eビザには下記2種類のビザカテゴリーがあります。

・E-1ビザ:貿易ビザ

・E-2ビザ:投資ビザ

日本人は特にE-2ビザの申請、取得者が多いので、ここでは日本人がE-2ビザを新規で取得するケースについて、ご案内いたします。Eビザを取得するためには、まずは設立した米国法人の企業登録手続きを行う必要があります。企業登録の際のポイントを下記でお伝えいたします。

E-2ビザの4つのポイント

  1. 国籍
  2. 投資額
  3. 実態のある企業
  4. マージナリティ

もう少し、かみ砕いて説明すると下記のような内容となります。

  1. 米国企業が日本国籍であること
  2. (企業の事業内容に応じた)リスクのある積極的な投資を行っていること
  3. ペーパーカンパニーでないこと
  4. 家族を扶養するのみのような小さな事業規模ではないこと

1は少々分かりづらいですが、法人にも「国籍」の概念があります。米国に設立した企業が日本人あるいは日本企業からの出資である必要があります。日本人の証明は簡単ですが、法人投資の場合、日本に所在する企業=日本企業とは言えません。日本に所在する企業であっても、日本人以外の外国籍の方が主な出資者となっている場合には、この要件には該当しません。基本的にはその日本企業の過半数の出資者が日本人であることを証明する必要があります。

2の投資額については、一体いくら以上投資すれば、Eビザを取れるのですか?という質問をよく受けますが、法律上は投資額について、具体的な数字が規定されているわけではありません。それは、事業内容によって、「リスク」のある投資額が異なるためかと思われます。例えば、米国に和食レストランを出店する場合とロケットを飛ばすような事業では、当然に事業の運営に必要な投資額が異なってくるためです。また、「積極的な」投資という箇所も重要な点です。例えば、ハワイにコンドミニアムを1億円で購入し、家族が年に数回程度バカンスに利用しているので、投資ビザを欲しいですと言われても、それは「消極的な」投資なので、Eビザは取得できません。金額面ではなく、事業の展開にあたりこの投資が「積極的」とは認められないためです。

このように、Eビザは言葉一つでは分からない細かな約束事があります。もちろん、ある程度の投資が大前提となりますが、個人でも法人でも米国への投資を考えていらっしゃる場合には、ビザを取得できるチャンスがあります。ただし、それぞれの要件をきちんと理解した上で投資しませんと、ビザの発給を受けることが難しくなります。

弊社ではEビザに関するコンサルティングを随時ご提供しています。まだ、投資や法人設立が青写真の段階でも問題ありません。むしろ、その段階でビザのことを考え、正しい知識を仕入れておくことは非常に大切です。後回しにしてしまいがちなビザのことですが、適切な事業運営には実は非常に重要なものです。いつでもご相談に応じますので、お気軽にIMSまでご連絡ください。