こんにちは。行政書士法人IMSの髙田です。
日本人の配偶者等や永住者の配偶者等のビザをお持ちの方から、配偶者と離婚することになってしまったら、日本にこのまま滞在することができるのか、ビザがどうなってしまうのかという相談を受けることがよくあります。そのような相談を受けたときに、私がさせていただいているアドバイスについて、お話をさせていただきます。
何らかの事情で、配偶者とこれ以上一緒に生活をすることができなくなった、どうしても離婚するしか方法がなくなってしまったというような状況が訪れることは、たとえ自分がどんなに良い関係を築こうと努力をしていても、残念ながら免れることができないことがあるかもしれません。
まだ離婚に至っていない場合と、離婚に至ってしまった場合に、在留資格を更新したり変更したりする際に気を付けなければいけないポイントは何でしょうか?
1. まだ離婚に至っていない場合
たとえば、まだ離婚には至ってはいないが、別居となってしまい、一生懸命、関係を修復しようと努力している時期、または、調停離婚や裁判離婚の手続きを行っている時期には、在留が心配となってきますが、どうすれば良いでしょうか?(なお、別居は、民法752条「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」の同居義務違反となりますので、同居はできる限り続けてください。)
→ 事情を入管に合理的に説明することで、ビザを6ヶ月の短い期間ですが、更新してもらえる場合がございます。
具体的には、
・調停離婚や裁判離婚の手続きを行っている場合には、裁判所から届く申立書、期日通知書、訴状、呼び出し状等の書面をきちんと保管しておくようにし、更新申請の際に添付書類として提出してください。調停や裁判が係属していることを立証します。
・夫婦の関係・事実・配偶者に対する思いを正確に説明してください。送金をしていたり、定期的に交流し話し合いの場を設けていたり、夫婦が関係修復に向けて努力をしていることがあれば、それを説明してください
しかし、申請後に、追加で夫婦二人それぞれに「質問書」(特別な様式のもので、婚姻の実態について調査する質問項目があり、各人が直筆で記載し、署名が必要)の提出が求められる場合がございます。
(※虚偽のことを説明した場合は、虚偽申請となり、「在留資格等不正取得罪(入管法70条1項)」または「営利目的在留資格等不正取得助長罪(入管法74条の6)」という重い罪となり、3年以下の懲役若しくは禁固若しくは300万円以下の罰金又はそれらが併科されます。)
そして、合理的な理由があると判断された場合には、6ヶ月の更新ができる可能性があります。
※しかし、上記のようないろいろな事情があったとしても、配偶者が身元保証人にならなかった場合は、配偶者が身元保証人になった場合より、さらに審査が厳しくなりますので、ご留意ください。
なお、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の在留資格で、別居が継続している状態、又は離婚をしてしまった後、6ヶ月以上配偶者としての活動を行っていないとみなされると、在留資格の該当性がなくなり、ビザ(在留資格)の取り消しの事由に該当します。
2. 離婚に至った場合
離婚をしてしまった場合は、6ヶ月以内に、その時点で行っている活動に該当する在留資格への変更申請を行います。「技術・人文知識・国際業務」などの他の在留資格に当てはまらないが、個々の状況を判断し、日本における在留を認める特別な事情があると認められる場合には、「定住者」に変更することができる可能性がございます。どの在留資格に変更すべきかについては、お客様の状況により異なりますので、弊社にご相談ください。
では、それらの在留資格の中で、就労制限のない「定住者」は、具体的にどのような要件を満たせば変更が可能なのでしょうか。
① 夫婦が同居し、実体のある婚姻生活を3年以上継続して続けていたこと。
さらに、お子さんがいる場合は、その子を日本で養育することがその子にとっても望ましいことであることが多いため、変更ができる可能性は高くなります。
② 離婚後、一人でも自立して生活ができること。(お子さんがいる場合は、一人で養育できる収入があること。)
今まではパートで働いていたが、離婚を機に正社員として雇用される場合でも、継続的・安定的に働くことが可能であると入管に認められる必要があります。
③ 今までに納税などの公的義務を果たし、日本の法律を遵守している等、在留実績に問題がないこと。
④ 日本語力に困らず、生活ができること。
離婚に至る経緯やご事情については、とても繊細でプライベートに関わる内容になりますので、お話しされることを躊躇されることもあるかと思います。しかし、別居に至った状態で「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留期間の更新や、離婚後に「定住者」の在留資格に変更するには、離婚の経緯・理由・ご事情、なぜ日本に引き続き在留する必要があるか、また、今後、ご自身が安定的に継続して生活ができるかを入管に丁寧に説明して立証する必要がございます。
女性のお客様には、弊社の女性の行政書士が、お客様に寄り添ってサポートをさせていただきますのでどうぞご安心くださいませ。