こんにちは。行政書士法人IMSの髙田です。今回は、当初、「企業内転勤」の在留資格で就労されていた方が、永住権をなるべく早く取得したいということでご相談を受けたときのお話をさせていただきます。

 早速、お客様からいろいろとお話をお聞きし、ポイント計算の結果、80ポイント以上が認められる可能性があったため、「企業内転勤」から「高度専門職」への在留資格の変更、そして、変更が認められた後に永住申請を行うようご提案させていただきました。

 1ケ月ほどの審査期間を待った後、そのお客様には80ポイントが認定され、無事、「高度専門職1号ロ」の在留資格への変更が認められました。そして、永住申請の1年前の時点でポイント計算をしても80ポイントをお持ちであったため、高度外国人材として1年以上の在留を待たずして永住申請が可能であり、早速、永住申請を行いました。

 その後、永住申請中にも関わらず、副業として会社を起業されました。行政書士として、お客様の永住許可への道のりができるだけ確実かつ最短となるように常にお客様の立場に立ってご提案をさせていただいております。ですから、できることならば起業は永住許可を取得してからのほうが良いのではというアドバイスを既にさせていただいておりましたので、お客様の行った起業という活動が何らかの点で永住審査に影響を及ぼすことにならないか、私にとって懸念する材料となってしまいました。

 そもそも、永住申請中の転職は、就労状況の安定性を欠いていると審査される可能性があり、あまりお勧めできません。しかし、高度専門職1号ロの在留資格をお持ちの方には、主たる業務として従事している活動に関連する事業の経営であれば、起業が認められています。

 以下が、高度専門職1号ロの在留資格を持つ方の「指定書」の内容です。

永住審査の結果は、無事に許可を得ることができました。

皆様のご参考になるよう、高度専門職1号ロの方が永住申請中に起業をして経営活動を行う場合、気を付けていただきたいポイントを以下に挙げさせていただきます。

①指定書で許可された機関に従事する活動を主たる業務として行う。

 高度専門職のビザの該当性を失わないためには、指定書で許可された活動は主たる業務として行い、事業の経営をする活動は従たる業務として行う必要があります。

②主たる業務と従たる業務の関連性に気を付ける。

 従たる業務として行う事業の経営をする活動は、許可された活動と関連性がなければならず、さらに許可された主たる業務と併せて行う必要があります。

③主たる業務からの給与と従たる業務からの報酬の割合に気を付ける。

 ビザの該当性の観点から、給与や報酬の割合が主従逆になっている場合や、業務の割合から勘案して説明ができないような給与や報酬の割合になっている場合、入管より説明を求められる可能性があります。

④健康保険や年金に未加入・未納期間が生じないにする。

 起業をして従たる業務としての経営活動を始めても、健康保険や年金の未加入や未納期間が生じないように気を付けることが大切です。

ご依頼者の方が問題なく永住権を取得できたのは、上記の点、全てにおいて問題がなかったからです。起業される際には、業務の関連性、報酬の割合、健康保険・年金の手続き等に細心の注意が必要なことにご留意ください。

※補足ですが、高度専門職の在留資格を持っている外国人の方が主たる業務と関連する事業の経営を従たる業務として行うのであれば、「資格外活動許可」を得る必要はありません。