日本人の配偶者等とは

こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

いよいよ3月以降から外国人入国制限が緩和されそうですが、どのような追加手続きが必要になるか、たくさんの関係者様が注視しているのではないでしょうか。弊社も、多くの外国人の方のビザ申請を手伝っておりますので、入国制限については常に注視しているところですので、政府の決定発表を待ちたいと思っています。

さて、今回は先日、日本在住の中国人女性からいただいたお問い合わせの件について、ご説明いたします。

こちらの方は、日本に10年以上滞在しているとのことで、永住申請をしたいとのことでした。しかし、いろいろ状況を聞いている中で、ある問題点が出てきました。それは、現在「日本人の配偶者等」ビザを持って滞在しているようですが、すでに2年前に日本人と離婚したそうです。

これで、問題ははっきりしています。「日本人の配偶者等」ビザというのは、日本人との婚姻状態が続いており、かつ原則夫婦が同居しながら生活を送っていることが必要ですので、すでに離婚状態ですと「日本人の配偶者等」ビザの該当性がなくなり、このまま滞在することは適切ではありません。また、日本人の方と離婚してからは、離婚の日から14日以内に入管に「配偶者に関する届出」をしなければならず、継続して6ヵ月以上日本人の配偶者としての活動をしないと在留資格取消対象になります。

この方は、離婚して2年経っていますので、そもそも在留状況に問題があるため、永住申請をすることが出来ません。また、持っている「日本人の配偶者等」ビザが取り消されている可能性もなくはないので、そうなると不法滞在の状態である可能性も考えられます。

日本人と離婚した場合の在留資格変更

それでは、「日本人の配偶者等」ビザを持っていた方が日本人と離婚した場合、ビザの問題はどうしたらよいでしょうか?考えられるものとしては以下のパターンですが、それぞれの状況によって対応が変わります。
(1)日本人の方と再婚して、在留期限の3ヵ月前になったら更新申請を行う
(2)他のビザへ変更申請を行う

(1)については、稀なケースかも知れませんが、不可能ではありませんので、日本人と再婚した場合は引き続き滞在が可能です。ただ、今後、在留期間の更新の際は、変更申請の時のように審査が厳しくなります。「日本人の配偶者等」ビザは、昔から偽装婚等に悪用されるケースが多いため、審査が厳しく行われる傾向にあります。もちろん、婚姻の実態がある等在留状況に問題がなければ、不許可になることはないかと思います。

次に、(2)について、他のどのビザに変更するかは、本人の状況次第となりますが、①定住者ビザや②就労ビザ、③留学ビザ等への変更申請が考えられます。

定住者ビザへの変更について

こちらは、離婚前の婚姻期間や親権を持つ日本国籍の子供の有無等の状況によりますが、定住者ビザの申請が可能な場合があります。ただ、このような状況での定住者ビザ申請は、人道的観点の配慮から法務大臣が特別に許可することになりますので、審査が厳しくハードルが高いと言えます。

②就労ビザへの変更について

もし、離婚前から会社に勤めている場合は、勤め先の会社との交渉が必要かと思いますが、就労ビザの申請が可能です。しかし、一般的な就労ビザですと基本的に大学卒以上の学歴や日本の専門学校卒業(「専門士」称号付与あり)が必要ですので、注意が必要です。

他に、単純労務に従事している場合は、「特定技能」ビザへの変更申請が可能ですが、日本語能力と技能試験等の要件がありますので、詳しくは専門家にご相談ください。

③留学ビザへの変更について

大学等に通っていたり、すでに入学が決まっていれば、留学ビザへの変更申請が可能です。こちらについては、通われる学校と相談しながら、必要に応じて行政書士等専門家にご相談ください。

以上のように、日本のビザ(在留資格)は活動内容によってビザの種類が異なっており、またビザの種類によりますが、許可されたビザの定められた活動を一定期間行わないと取消対象になります。ですので、日本での活動内容や滞在目的が変わった場合は、それに応じた適切なビザ(在留資格)に変更するか、日本に滞在する必要がなくなった場合は帰国する必要があります。