技術・人文知識・国際業務のビザで飲食店で働くことは可能か。
こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。
2021年11月8日から外国人の新規入国が緩和されていましたが、オミクロン株の影響により、12月31日まで再び新規入国が禁止となりました。新規入国のための「審査済証」の申請などで大騒ぎしていてまもなくしてまたの入国禁止となりました。コロナ禍から丸2年を迎えますが、収束の気配が見えません。
さて、今回はお客様からいただいたお問い合わせの件について、ご説明いたします。
弊社がビザコンサルティングサービスを提供している大学の博士課程に在学中の中国人留学生からいただいたご相談ですが、来年博士課程を卒業するが、今アルバイトをしている日本料理屋(フグ料理屋)に就職して就労ビザを取得することができるか、という内容でした。
そこで、今回は、料理屋に就職することができるか、どのような在留資格が必要かについて、ご説明いたします。
一般的に大学を卒業した場合は、大学に雇用されて「教授」ビザを取得して研究員で働いたり、一般企業に採用されて「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得して働いたりする外国人が多いです。
せっかく日本の大学を卒業して、料理屋に就職しようとする方はそれほど多くはないですが、結論として就職することは可能です。ただ、皆さんご存知のとおり、外国人の方が日本で就労活動をするには、永住ビザや日本人の配偶者等ビザなどの所持者を除いて、それぞれの就労活動の内容に合う就労ビザを取得しなければなりません。
「特定技能」ビザと「特定活動(告示46号)」ビザ
では、料理屋に就職した場合は、どのような就労ビザを取得することが可能でしょうか。この場合は、「特定技能」ビザと「特定活動(告示46号)」ビザの取得が考えられます。
まず、「特定技能」ビザですが、2019年4月から創設された新しい就労ビザです。日本国内で人手不足が深刻化する14の業種で、外国人の就労が認められるようになったものです。料理屋ですので、業種としては外食業分野に該当します。
「特定技能」ビザを取得するためには学歴要件や実務経験は必要とされませんが、①一定の日本語能力試験の合格、②業種分野ごとに行われている技能試験の合格、③就労先の特定技能外国人への支援の実施(若しくは登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託可)が必要になります。それぞれ、詳しくは以下、入管庁の専用ページをご確認ください。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00127.html
技能試験については、フィリピンやインドネシア等一部の海外でも行われており、また日本国内でも行われていますので、詳しい試験日程は上記入管庁サイトから確認することができます。
また、「技術・人文知識・国際業務」ビザで働いている方でも、日本語試験や技能試験の要件を満たせば、「特定技能」ビザへの変更申請が可能です。なお、就職先企業が特定技能外国人への支援体制(登録支援機関に支援計画の全部又は一部を委託可)が整っているか、必ず確認してください。
次は、「特定活動(告示46号)」ビザになりますが、こちらも上記の「特定技能」ビザとほぼ同じ時期に創設された新しい就労ビザの1種になります。
日本の大学卒業者が日本の公私の機関において,日本の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか,留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として,幅広い業務に従事する活動が認められたものです。通常の就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」ビザでは,一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんでしたが,「特定活動(告示46号)」ビザでは,上記諸要件が満たされれば,これらの活動が可能です。料理屋に就職された場合は、店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うものが可能です。
「特定活動(告示46号)」ビザを取得するためには、①日本の大学(院)を卒業、②日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上、③日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務、④本邦の大学又は大学院において修得した広い知識及び応用的能力等の活用が求められます。
日本語能力について、大学(院)で日本語を専攻して卒業した場合は、上記①を満たすことになりますが、外国の大学(院)で日本語を専攻した場合であっても併せて日本の大学(院)を卒業していることが必要ですので、ご注意ください。つまり、必ず日本国内の大学(院)の卒業が必要になります。
詳しくは、以下入管庁案内をご確認ください。
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri07_00038.html
以上のように条件はそれぞれ異なりますが、料理屋に就職しても就労ビザを取得することが可能です。弊社は、特定技能ビザと特定活動(告示46号)ビザとともに申請実績がありますので、ご検討の方は、是非弊社にご連絡ください。