こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。
梅雨の時期は気分も塞ぎがちですが、皆さま、体調を崩されたりしていないでしょうか。気分の落ち込みが体調にも影響することもあれば、体調不良が精神に影響することもあります。いずれにしても直ぐに回復すれば良いのですが、気分の落ち込みや疲労感、無気力などの状態が長く続いていて仕事や勉強に支障をきたすようになった場合は、心の病気かも知れません。今回は、留学生のメンタルヘルスに関連するトピックを取り上げてみました。
大学生の多くが心の病気を抱えている
近年、若い方のうつ病や躁うつ病は増加傾向にあり、平成26年の調査では大学生の内、過去12ヵ月にうつ病を経験した人の割合は18.5%にも上っていたという報告があります。うつ病の例としては、授業が難しくなって着いて行けなくなり、次第に大学に通うことが億劫になり、心も塞ぎ込みがちになる、など。また、一人暮らしを始めた学生が、ストレスで心が苦しくなっても、相談できる人が周囲にいないという孤独感から、うつ病とは逆に躁状態(興奮状態、イライラしやすい、寝なくても元気に活動できるなど)になる躁うつ病も、大学生に多い病気の一つと言われています。
日本人学生でさえ、様々なストレスにさらされている大学生活で、留学生が乗り越えなければならないストレスやプレッシャーは更に大きいのではないでしょうか。そして、相談できる相手も少ないことは容易に想像できます。
留学生が2回留年すると在留期間の更新が難しくなる
このところ、過去に単位を取得できず大学を留年してしまった留学生からのご相談が増えています。細かい状況はそれぞれ異なるのですが、過去の留年のうち少なくとも1回は、メンタルの問題で授業に出られなくなってしまったり、試験で失敗してしまったりしたことが原因となっているようでした。
学部生の場合、2回留年すると在留資格「留学」の更新は難しくなります。更新不許可となった場合は、一旦帰国して、再度、在留資格認定証明書(COE)交付申請の手続きから始める必要があります。しかしながら、再度、COE申請を行う場合でも、更新不許可の理由を払拭する説明や証明が必要であり、その資料を揃えることができるかどうかが、重要なポイントとなります。
病気やケガで授業を受けられなかった場合は、受診した病院の医師による診断書があれば、留年の理由が怠惰による学業不良ではないという説明のサポート資料となります。しかしながら、精神的な不調で病院に行くことをためらっていたり、ただ家にこもっていたりした場合は、病気であったという客観的な資料がないため、自分で状況を説明しても怠惰による学業不良ではなかったことを証明することができず、在留資格「留学」の更新やCOE交付は難しくなります。
周囲のサポートも求められている
多くの大学では、修学支援、メンタルヘルス支援、留学生支援など様々な目的の学生支援組織を設置しているようですが、問題や悩みを抱えているにもかかわらず、自らカウンセリングを受けに来ない学生も多数いるのではないでしょうか。メンタルヘルスの問題は、留学生に限らず放置すると取返しのつかない結果になることもあります。早い段階で、周囲が症状に気づいて、支援組織の利用や心療内科・精神科の受診を促すなど、声掛けやサポートを行うことが必要になっているのかも知れません。
参考:
学生支援の最新動向と今後の展望-大学等における学生支援の取組状況に関する調査(平成25年度)より--JASSO
カウンセリングを受けていない大学生のストレッサーと抑うつ症状https://hiroshima.repo.nii.ac.jp/records/2023995
