こんにちは。行政書士法人IMSの竹内です。
現在、就労資格で在留されている多くの外国人が保有されている在留資格に「技術・人文知識・国際業務」の資格があります。この在留資格と類似しているものに「企業内転勤」という資格があります。今回はこちらの在留資格についてQ&A方式でお話しさせていただきます。
Q.1 「企業内転勤」とはどのような在留資格ですか。
A. ⇒ 海外に本社(法人)やグループ企業があり、日本に法人や子会社等がある場合、海外の本社に在籍したまま日本の会社に「出向」や「転勤」などのかたちで来日し、当該企業で就労する場合の在留資格です。
Q.2 「企業内転勤」はどのような業務(活動)ができますか。
A.⇒ 在留資格「技術・人文知識・国際業務」相当の活動内容にて就労することが可能です。海外の本社等で行っていたものと同じような業務であり、一般的にはホワイトカラー的な業務内容になりますので、工場でのライン作業やレジ打ちなどの入管法上で定義されている「単純労働」と呼ばれている専門性を有しない、反復継続的ないわゆるマニュアルがあれば誰もが従事できる活動はすることができません。
Q.3 この在留資格取得に要件はありますか。
A.⇒ 海外の本社やグループ企業内で1年以上、上記の在留資格「技術・人文知識・国際業務」相当の活動内容に従事している必要があります。また、来日するための在留資格認定証明書交付申請の際は日本の法人、子会社が海外本社と関連性があることを立証すること、また日本人と同じ給与が保証されていることも必要です。
Q.4 在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは何が異なりますか。
A.⇒ 「企業内転勤」は所属が海外本社のままであることに対し、「技術・人文知識・国際業務」では「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う~」と入管法でも定義されているように日本の会社等と直接雇用契約を締結し、日本国内で就労する際にはこちらの就労資格が必要です。たとえ、同じグループ企業であっても海外本社との契約を終了し、日本法人での直接雇用に変更する際は「企業内転勤」→「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更が必要となるので注意が必要です。
また、「企業内転勤」は同グループ間での移動という認識ですので、申請要件も「技術・人文知識・国際業務」が求めるような大学卒業相当の学歴要件、または実務経験などは要求されません。
Q.5 転職活動をして日本の他の企業で働くことはできますか。
A.⇒ 「企業内転勤」は海外企業(本社等)に在籍していることが前提条件で、グループ企業である日本法人で就労することが許可されていますので、一般的に他企業への転職はできないものとされています。それでも転職を希望する際は「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。「技術・人文知識・国際業務」であれば、従事する業務内容に該当性があり、入管へ適切な届出をすれば他企業に転職することが可能であり、同じ在留資格のまま「更新許可申請」を行うことも可能です。
Q.6 海外企業(本社等)に所属しているのであれば、給与支払いも海外法人からの支払いにしなければいけませんか。
A.⇒ 給与支払いにおいては、海外法人からだけでなく、日本法人が全額支払うかたちでも問題ありません。支払い割合においても規定はありません。
「企業内転勤」はあくまで海外本社に在籍していることが基準となり、それに伴う日本法人への転勤や出向になりますので、申請要件も緩和されるメリットもありますが、他企業へ転職する際は「変更許可申請」が必要となります。「技術・人文知識・国際業務」とは似て非なる在留資格ですので、ご留意ください。どちらの在留資格が適切なのか等のご判断に迷われた場合などはオンラインによるコンサルティングサービスも実施しておりますので、ご連絡いただければ幸いです。
