こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。

最近は、日本で会社を設立し、経営管理ビザ(又は高度専門職1号ハ)を取得したいというお問い合わせが増えているように思います。海外から日本に来て新規事業をやりたい、日本に支社を設立したい、日本に留学している方が卒業後に事業をやりたい、日本で働いている方が独立している事業をやりたい等、様々なお問い合わせケースがあります。

会社の設立のみということであれば、外国人の方が日本にいるか海外にいるかで登記上の書類が少し変わるだげで、業種に関しても特に制限がなく、法的に認められた範囲であれば、日本人と同様に多様な事業目的にて会社設立が可能ですので、それほど難しくありませんが、経営管理ビザの申請となりますと様々な要件があります。

今回は、外国人個人の方が、日本に一般的な株式会社を設立し、経営管理ビザを取得するために必要な「人」、「金」、「物」と経営管理ビザとの関係性や必要性について、説明したいと思います。なお、起業・創業準備のためのスタートアップビザの制度もいくつかありますが、今回は、最初から会社を設立し事業を始めるために経営管理ビザを取得するケースについて、説明いたします。

「人」について

一般的な一人会社(株式会社)を設立するには、代表取締役、発起人、協力者が必要になります。

●代表取締役(社長)
自然人のことを言います。国籍や日本の在留資格の制限はありません。また、日本在住、又は日本に住所がない海外在住の方でも問題ありません。

●発起人(出資者)
自然人又は法人がなることができ、国籍や日本の在留資格の制限はありません。また、日本在住、又は日本に住所がない海外在住の方でも問題ありません。

上記の代表取締役と発起人は、同一の自然人でも問題ありません。多く場合、同一の外国人の方が代表取締役と発起人になって株式会社を設立します。

●協力者
会社設立の段階では資本金を振込む必要がありますが、資本金を振り込む際には、日本の銀行口座が必要です。

①中長期在留者として日本に滞在している方の場合、通常は日本の銀行口座を持っていますので、資本金の振込みにの問題はないと思いますので、協力者なしで進めることが可能です。

②海外在住の外国人の場合、日本の銀行口座を持っていないため、資本金の振込みの問題が出て来ます。そこで登場するのが「協力者」です。日本に滞在していて日本の銀行口座を持っている、日本人や中長期在留資格をお持ちの外国人に、協力者になってもらうことが可能です。そして、協力者には、資本金の振込みを受けてもらう他に、設立時取締役か共同代表取締役になってもらい、会社設立からオフイスの確保、税務署での手続き等、また経営管理ビザの申請代理人までを協力してもらいながら、一連の手続きを進めることになります。

協力者の主な役割

■会社設立時に必要な資本金の振込みを受ける
■設立する会社の取締役か共同代表取締役になる
 ※共同代表取締役になった場合は、申請人が経営管理ビザを取得して日本に入国した後、退任することが可能です。
■オフィス用の物件を探したり、賃貸借契約等を行う
■税務署での手続き等をサポートする
■経営管理ビザのCOE申請の申請代理人になる
 ※例えば、申請人が短期滞在ビザで来日できる場合は、申請人本人が日本滞在期間中にCOE申請手続き(行政書士による代行を含む)を行うことが可能です。

「金」について

経営管理ビザの申請要件に、申請に係る事業の規模として、次のいずれかに該当していることが必要です。

(イ) その経営又は管理に従事する者以外に日本に居住する二人以上の常勤職員が従事して営まれるものであること。
(ロ) 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
(ハ) イ又は口に準ずる規模であると認められるものであること。

多くのケースでは、上記(ロ)の要件を利用して経営管理ビザを申請します。つまり、外国人の方が500万円以上を出資(資本金として)のうえ会社を設立し、経営管理ビザを取得します。また、「500万円以上」とは、経営管理ビザを取得しようとする外国人の方の直接出資でなくてもよく、例えば、日本にすでに存在している会社に代表取締役として就任した場合、その会社の資本金が500万円以上あれば、上記(ロ)の要件を満たすことになります。

「物」について

ここで言う「物」とは、経営管理ビザ申請のために必要なオフィスの物件のことで、オフィスについては以下の基準が定められています。

申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

外国人経営者の在留資格基準の明確化

オフィスについては、賃貸物件であることが一般的であり、物件の賃貸借契約においてその使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても会社等の名義とし、会社等による使用であることを明確にすることが必要です。また、一軒家等住居用の物件をオフィスにすることも可能ですが、その場合、住居目的以外での使用が認められていること、そして事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること、公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること及び看板類似の社会的標識を掲げていることが必要とされます。

会社設立から経営管理ビザ申請までの流れ

以上、今回は経営管理ビザ申請のために必要な「人」、「金」、「物」について、説明しました。会社の設立手続き自体はそれほど難しいものではありませんが、経営管理ビザの申請となりますと上記のように様々な要件があったり、また提出する書類も多く、審査期間も長くかかりますので、不許可のリスクを避けるためにも慎重に進める必要があります。弊社では、会社設立手続き、経営管理ビザ(高度人材ビザを含む)の申請代行を承っておりますので、お困りの方はぜひご相談ください。

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