こんにちは。
行政書士法人IMSの竹内です。
今年も残すところ僅かとなり、来年より新しいことに挑戦する計画をお立てになられている方も大勢いらっしゃると存じます。
中には諸外国で会社を設立されたり、婚姻、不動産取得などもお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際に日本の公文書の提出を求められる場合がございます。
その際のお手続きとして①領事認証➁アポスティーユというものがございますので、今回は両者の何が異なるのかをご説明させていただきます。
【領事認証】
日本で発行される公文書ですが、外国の提出先ではこの文書が本当に日本の官公署、自治体が発行したものかまで判断できません。その疑念を払拭するために、公文書に押されている印鑑(これを「公印」と呼びます)を外務省が真正な公文書であるとして証明します。これを「公印確認」と言い、対象となっている書類に直接押印いたします。その後、これらの文書は「外務省が証明した公文書」としてさらなる信頼性を得て、各国の駐日大使・領事が認証します。
これらの課程を経て、外国本国で安心してお手続に使用することが可能な文書として提出することができます。
一般的な領事認証の流れは下のようなものでございます。
①公文書の発行→➁外務省による公印確認→③各国駐日大使・領事による認証
→④各種手続きに提出
【アポスティーユ】
さて、上の段で領事認証のお手続きの流れを説明させていただきましたが、
アポスティーユと言われる手続きは領事認証と何が異なるのでしょうか。
アポスティーユとは…
「外国公文書の認証を不要とする条約(略称:認証不要条約)」(1961年10月5日のハーグ条約)に基づく付箋(=アポスティーユ)による外務省の証明のことです。(※ 外務省ホームページより抜粋)
このアポスティーユを外務省で取得すると、ハーグ条約を締結している国間では、駐日大使・領事の認証があるものとして締結国に各種書類を提出することが可能となります。上記、領事認証手続きで必要であった「駐日大使・領事による認証」が不要となることが特徴です。
アポスティーユの一般的な流れを下に記します。
①公文書の発行→➁アポスティーユの取得→③ハーグ条約締結国での各種手続きに提出
稀に条約締結国でも領事認証が求められることがあるとのことなので、
個別に確認したほうがよい場合もありますが、一般的には上のような流れとなり、お手続き的には少し簡略化されます。
また、ハーグ条約締結国は外務省のホームページにて確認が可能でございます。
【 「私文書」を「公文書」として取り扱うには… 】
今までは、官公署や各自治体が発行する公文書が原本の場合の説明をしてきました。では、外国でのお手続き文書が例えば「パスポートの写し」、「○○省発行公文書のコピー」、個人や法人が作成した「委任状」などの場合はどのように対応すればよろしいのでしょうか?
日本の官公署、自治体が発行した公文書も原本ではなく、コピーしたものであればそれらの文書は公文書ではなく「私文書」として扱われます。
その際はまず公証役場で署名に対して、公証人によって「私署認証」※ のお手続きを行い、その公証人が所属する地方法務局長の押印をいただき、私文書を公文書にするという流れとなります。
「公文書」となった文書のお手続きは上記お手続きにつながります。
- 公証人の行う「私署認証」とは…
私文書上の署名(署名押印)または記名押印(押印)が本人のものであることを公証人が証明することで、その文書が真正に成立したこと、すなわち、文書が作成名義人の意思に基づいて作成されたことが推定されるというもの
(日本公証人連合会より引用)
今回は外国手続きに提出する書類の認証についてお話させていただきました。
公証・認証お手続きは弊社でも取り扱っておりますので、お気軽にご相談いただければと存じます。