こんにちは。行政書士法人IMSの洪です。
日本には29種類の入管法上の在留資格があり、その中には10種類以上の就労ビザがあります。就労ビザの中には、更に2012年5月から導入された高度人材制度と、2023年4月から導入された特別高度人材制度(以下、J-Skip)があります。高度人材制度は、学歴・職歴・年収等の項目ごとにポイントを付け、その合計が一定点数以上が必要なポイント制が採用されており、J-Skipでは、学歴または職歴と、年収が一定水準以上必要(ポイント加算やポイント資料は不要)になります。高度人材もJ-Skipも、与えられるのは「高度専門職」ビザになりますが、J-Skipの場合は、特別高度人材証明書が交付され、また在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載されます。
さて、今回は多くある日本の就労ビザの中で、日本最強の就労ビザはどれか?について、見ていきたいと思います。
就労ビザのトップの座は?
まずは、以下ピラミッド図をご覧ください。
ご覧のように「高度専門職2号」がトップにあります。
「高度専門職2号」とは、「高度専門職1号」の在留資格をもって一定期間在留した方を対象に、在留期限を無期限とし、活動制限が大きく緩和された就労ビザになります。「高度専門職1号(高度人材)」を取得してから3年以上経過し、又は「高度専門職1号(J-Skip)」を取得してから1年以上経過した場合に「高度専門職2号」への変更申請が可能です。技人国ビザ等通常の就労ビザから直接「高度専門職2号」への変更申請は出来ません。
「高度専門職2号」の優遇措置やメリット
そして、「高度専門職2号」には、以下のメリット・優遇措置が設けられてあります。
① 在留期間が無期限
※7年に一度在留カードの更新が必要
② 「高度専門職1号」の活動と併せて就労ビザで認められるほぼ全ての就労活動を行うことが可能
③ 在留歴に係る永住許可申請要件の緩和
④ 配偶者の就労
※学歴要件なく、フルタイムで就労可能。なお、要件を満たした上で「特定活動」ビザへの変更申請を行い、許可を得る必要がある。
⑤ 一定の条件の下での親の帯同が可能
⑥ 一定の条件の下での家事使用人の雇用
⑦ 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
⑧ 「高度専門職1号」と違ってパスポートに「指定書」の添付がなく、所属機関(会社)と紐づかない形で許可されますので、転職をしたとしても「高度専門職1号」のように再度変更申請が不要。
⑨ 例えば、技人国ビザで会社に働いていた方が大学で研究の仕事をする場合は事前に「教授」ビザへの変更申請が必要ですが、「高度専門職2号」であれば在留資格の変更申請手続きが不要。
なお、上記⑧、⑨については、転職等により所属機関が変わる場合は、活動(契約)機関に関する届出を行わなければなりません。
以上のように、通常の就労ビザでは認められていないメリットや優遇措置が多く、転職の自由度が高い、活動可能な範囲が広い等、「高度専門職2号」はまさに最強の就労ビザと言えるでしょう。
ただ、「高度専門職2号」もあくまで就労ビザですので、就労活動を行っている必要があり、正当な理由なく継続して6ヶ月以上認められている活動を行わないと取消対象になります(入管法第二十二の四の六)。
第二十二条の四(在留資格の取消し)
六 別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月(高度専門職の在留資格(別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)をもつて在留する者にあつては、六月)以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)
出入国管理及び難民認定法(令和6年4月1日 施行)
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