こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。

在留資格認定証明書交付申請書を作成するとき、申請人の国籍、氏名、性別、生年月日などの身分事項を正しく記入する必要があることは言うまでもありませんが、氏名については外国人の方が通常自国で使っている表記方法と異なる場合が多いため、特に注意が必要です。今回は、在留資格認定証明書交付申請書への氏名の記入方法について理解を深めておきたいと思います。

パスポートのアルファベット表記と同じにするのが基本

申請書に記入する氏名は、パスポート上の氏名と同じにすることが原則です。

在留資格認定証明書に記載される氏名は、出入国・在留管理に係るデータベースに登録されて使用されますので、パスポートの表記と異なっていると、査証申請に支障が生じる可能性がある他、在留カードに記載される氏名にも影響します。

パスポート上の氏名は、顔写真のある身分事項ページに記載されていますが、複数に分かれている場合は、氏・名・ミドルネームの順を問わず、上段・左側から順番に記入していきます。

名前が長い場合など、すべてが身分事項ページに記載されておらず、別のページに記載されていることもありますので注意が必要です。

通常のアルファベット以外で書かれていたら

在留資格認定証明書や在留カードの氏名には英語で用いる基本のアルファベット26文字以外は使われませんので、申請書も英語のアルファベットで記入する必要がありますが、パスポート上の氏名は母国語のアルファベットで表記され基本26文字以外の文字が含まれている場合があります。(例:ドイツ語のウムラウトなど)このような場合は、どうしたら良いのでしょうか。

身分事項ページの下の部分にはMRZ(machine readable zone)という機械で読み取ることができるコードも印字されています。通常、MRZ内の氏名は英語のアルファベットに置換されて表記されているので、顔写真横の氏名に基本のアルファベット以外の文字が使われている場合は、申請書に記入する氏名もMRZ内の綴りを使用します。

ハイフン(-)やコンマ(,)は書いても反映されません

また、ハイフン(-)やコンマ(,)が使われている場合がありますが、これらはどうしたら良いのでしょうか。申請書の氏名にハイフン(-)やコンマ(,)を入れて記入しても差し支えありませんが、在留資格認定証明書や在留カードではこのような記号は使われませんので、これらはすべてスペースに置き換わります。

その他の記号としては、ローマ数字(Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ等)がありますが、こちらを記入した場合は、アルファベットの「I」「V」を組み合わせて表示されます。また、@は「A」になります。

その他の記号、ピリオド(.)、アポストロフィ(‘)、スラッシュ(/)は、記入しても表示されず記号部分は文字を詰めて表示されます。

氏名以外の称号等が書かれている場合

パスポートの氏名欄に称号等が含まれている場合も、記入すべきかどうか迷うところです。

在留カードに表記する氏名にこれらを含めるかどうかの基準に照らして考えると、個人を特定しない称号等は記入しないが、氏名を修飾することにより個人を特定し又は特定しやすくする称号、略称等は記入するということで良いようです。

個人を特定しない称号等とは、「Mr」、「Miss」、「Mrs」、「Dr」、「Sir」などで、これらはパスポートに書かれていても、申請書に記入する必要はありません。

一方、氏名の一部として個人を特定する称号、略称等の例には、以下のようなものがあります。

パスポート上の表記意味在留カード上の表記
「Jr」、「Sr」Junior, Seniorの略。父子同名の場合に付す。「JR」、「SR」
「s/o」、「d/o」Son of, daughter of の略「SD」、「DO」
「GEB. ~」geborenの略。旧姓の意味。「GEB ~」
「ep. ~」、「epouse ~」~ の配偶者の意味「EP ~」、「EPOUSE ~」
「usage ~」別名の意味「USAGE ~」
「@ ~」、「(a) ~」別名の意味「A ~」
「pseudo ~」愛称の意味「PSEUDO ~」

なお、氏名の一部として個人を特定する称号、略称等については、実際に在留カードの氏名欄にこれらの表記が入ってしまった方からは、不満の声もあるようです。略称であることを表すピリオド(.)やスラッシュ(/)もなく、すべて氏名として表記されているため、クレジットカードや他の公式な書類の氏名が在留カードの氏名と一致しないという問題が生じて困っているとのこと。

パスポートの氏名欄に記載されているものがすべて氏名であるとは限らず、審査要領では、注釈として、「個人を特定する別名等であっても、旅券の身分事項頁氏名欄の( )内に記載されている内容は在留カードに表記しない」という方針も示されています。しかしながら、そういった情報をどのようにパスポートに記載するかは国によって異なるようですので、この問題は当面残りそうです。

参考:入国・在留審査要領(令和6年2月開示版)

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