こんにちは。行政書士法人IMSの竹内です。

本日は在留資格「技術・人文知識・国際業務」の特に自然科学分野及び人文科学分野にフォーカスし、在留資格の活動内容と就労先の適合性について確認したいと思います。

就労ビザの中でも業務内容が幅広く、海外や日本で大学を卒業された方、または日本の専門学校を卒業された方ならばこちらの在留資格を取得され働かれている方は多いのではないでしょうか?

【活動内容と取得要件】

出入国在留管理庁では

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務~」

を本資格の活動内容として提示しています。 

そして該当基準として「申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は,従事しようとする業務について,次のいずれかに該当し,これに必要な技術又は知識を修得していること。~」として下の基準を定めています。 

■ 当該技術若しくは知識に関連する科目を専攻して大学を卒業し,又はこれと同等以上の教育を受けたこと。

■ 当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。

■ 十年以上の実務経験(大学,高等専門学校,高等学校,中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。 

これらの基準に該当する方に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が許可され、いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる専門的な技術や知識を用いる業務に従事することになります。

【就労先での在留資格の適合性】

過去のコラムでもありますが、本在留資格と業務内容との関連性においては大卒者や先日の改定で緩和された一部の専門学校卒業者に対しては「比較的柔軟に審査する」と言われています。ただ、上記出入国在留管理庁が発表している基準がやはり大前提となっており、それに適合した相応しい業務をしているかは常に問われているのではないでしょうか。

実際に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって業務に従事されている方は「学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門的能力を必要とする活動」が前提となっていますので、就労先での技術又は知識を要しない単純労働や反復訓練によって従事可能な業務(組立工場での流れ作業や(付随的な業務除く)コピーやパソコンでのデータ保存、バックアップの作成等)はすることができません。

もし就労先に在留資格「技能実習」の方が在籍しており、同じ業務に従事されているのであれば「専門的な技術や知識を必要としない活動」として在留資格「技術・人文知識・国際業務」の適合性はないと判断されます。

【知らなかった…では、すまされません】

また、永住者や定住者などの身分系のビザは活動制限がなく単純労働などに従事できますが、就労系のビザは入管に申請した在留資格で許可を得ていますので、所属機関(受入れている会社等)が本来の在留資格の活動内容から離れた業務に従事させている場合は入管法第73条の2に規定されている「不法就労助長罪」に問われる可能性がでてきます。所属機関側に故意があった場合はもちろん、知らなかったという過失があったとしても本罪は適用されますので注意が必要です。 

働かれている御本人だけでなく、所属機関の方も今一度、在留資格の該当性と職場での適合性に関してご確認いただければと思います。

 参考:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(出入国在留管理庁)