こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。
楽しいゴールデンウイークが終わってしまい、次の祝日はいつだろうと思わず、カレンダーをめくってしまいました。皆様もたっぷりと充電されたかと思いますので、夏まで頑張りましょう。


さて、皆様は「ビザって何?」と聞かれたら、正確に答えることができますか?

ビザのイメージはこんな感じでしょうか?

①外国に行く時に必要なもの

②外国に滞在するのに必要なもの

③外国で仕事をするのに必要なもの

④外国に留学するのに必要なもの

上記はいずれも間違いとまでは言えないものの、正確な回答とも言えません。

なぜなら、「ビザ」と「ビザステイタス」を混同しているためです。本日はこの2つの言葉について、説明させていただきます。

なお、意外と知られていないようですが、ビザのルールや出入国管理制度は、国によって異なります。ここでは弊社が専門的に取り扱っている日本とアメリカにおける「ビザ」と「滞在許可」のお話となります。他国については、概念が異なる場合がありますので、ご承知おきください。

「ビザ」とは?

ビザ(査証)とは、外国に入国する時に必要なものです。日本のパスポートは世界一強いパスポートと言われるように、日本のパスポートを持っていれば、ビザなし渡航が可能な国がたくさんありますので、ビザに馴染みのない方も多くいらっしゃるかもしれません。日本人がどこの国にビザなし渡航が可能かは、日本と相手国との取り決めに基づくものです。日米間では査証免除協定が結ばれていますので、日本人がアメリカに観光で行きたい場合には、特段問題なければ、ビザなし渡航が可能であり(ただし、アメリカの場合にはESTAが必要)、アメリカ人が観光目的で来日したい場合にも通常はビザなし渡航が可能ということになります。また、一般的には観光や短期商用の際にビザなし渡航が可能になるものであって、ビザなし渡航が可能な国であっても、留学、就労、長期滞在等の場合には、ビザが必要になります。
そして、大事なのは留学や就労目的等での渡航でビザが必要な場合、ビザがあれば、必ず入国を許可されるわけではないという点です。なぜなら、ビザはあくまで申請時点での審査結果であり、ビザ発給後の状況までは反映されていないこと、また、日本もアメリカもビザ発給と入国審査は異なる役所の管轄であるため、判断が分かれることもあり得るためです。判断が分かれるのは見解が異なるためというよりも、持っている情報量の違いによるところが大きいです。

ですから、ビザとは何ですか?と聞かれた場合には、私はビザはあくまで外国への渡航のための「推薦状」のようなものですとお答えしております。

「この人は国へ入国させても問題ないですよ」と領事が判断の上、出した「推薦状」に過ぎないため、決して入国を保証するものではないのです。

「ビザステイタス」とは?

ビザステイタス(滞在許可)とは、外国に滞在するための許可と考えてください。日本もアメリカもそのステイタスによって、就労することができたり、大学等で勉強することができたり、あるいは長期滞在することができたりします。「ビザ」はあくまで入国時の入国審査で必要なものですが、「ビザステイタス」は長期であっても短期であっても外国に滞在する際に必要なものとなります。

「ビザ」と「ビザステイタス」の有効期限は同じ?

ビザには有効期限があります。多くの国のビザはパスポートに貼付されますが、その中にいつまで有効か日付が記載されています。ビザステイタスの有効期限は、通常、入国審査時に決定されます。ビザの種類によって、最長有効期間が決まっているケースが多いと思いますが、あとは入国審査官の裁量で期限が定められます。一旦、入国を許可されたら、注意すべきはこのビザステイタスの有効期限です。良くある間違えは下記のとおりです。

①滞在期限はビザの期限と同じだと思っていた。

②いつもと同じ期間の許可が与えられたと思っていた。

③パスポートの残存期間が短い状態で入国→パスポートの期限までしか滞在許可をもらえていないことに気づいていなかった。

→いずれも知らないうちにオーバースティという結果を招きます。そして、これは特にアメリカビザで起き得る事象です。

日本は在留カードという制度があり、ビザで入国後は多くの場合でビザではなく在留カードで滞在期限が管理されますので、上記のような間違えは起こりにくいのですが、アメリカの非移民ビザは入国のたびにビザに基づいて滞在許可が決定されますので、ビザ制度を正しく理解していませんと、大きな間違いを引き起こしてしまいます。最近はアメリカでもペーパーレス化が進んでおり、入国時に入国のスタンプが押されなくなってきています。入国後の滞在期限については、I-94というオンライン出入国記録にてご自身で必ず確認しましょう。

なお、ビザステイタスが決定される代表例は入国審査ですが、滞在国の国内でのステイタスチェンジ(資格変更)や滞在期間の延長申請等でもビザステイタスは決定されます。そうなるとビザの期限は切れていても、合法的な滞在が可能という状態になります。

本日は少々ややこしいお話となりましたが、海外に行く際にはビザの知識が必須です。知らなかったからうっかり違法状態になっていたというようなことにならないようくれぐれもお気をつけください。

弊社では、米国ビザに関するご相談を随時お受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

なお、本ブログは現時点での情報であり、最新情報についてはお客様の責任において、政府公式サイト等でご確認ください。