こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。

昨年、2023年4月に特別高度人材(J-Skip)の制度が導入されたこともあってか、最近、在留資格「高度専門職」への注目度が高まっていると感じています。「高度専門職」には1号と2号があり、2号をお持ちの方や、2号への変更を希望される方はまだまだ少数派ですが、今回は、「高度専門職」1号と2号に違いについて理解を深めておきたいと思います。

「高度専門職1号」は優遇措置がある一方で「指定書」が付くことに注意!

先ずは「高度専門職1号」で認められている活動の特徴を確認しておきましょう。

「高度専門職1号」は認められた就労活動の内容により、イ、ロ、ハの3種類に分かれています。入管法別表第一の1の表に掲げられた「本邦において行うことができる活動」をそれぞれに対応する、他の在留資格と並べて見てみましょう。

高度専門職1号(イ)は、在留資格「教授」「研究」「教育」のそれぞれに対応する活動を統合したものに相当します。

高度専門職1号(ロ)は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に相当します。

高度専門職1号(ハ)は、在留資格「経営・管理」に相当します。

「高度専門職1号」イ、ロ、ハに共通して言えることは、以下の2点です。

①については、具体的にはパスポートに「指定書」が貼られ、契約機関の名称と住所が記載されます。そして、主たる活動場所を変更する場合は、届出ではなく在留資格の変更が必要となることに注意が必要です。

②については、“複合的な活動”として認められているものですが、「当該活動と併せて」というのは、「主たる活動を行っていることが前提条件で、それ以外に」という意味です。また、併せて行う活動も主たる活動と関連していることは必要ですので、もし、主たる活動とは全く別の事業を経営する場合は、資格外活動許可が必要です。

「高度専門職2号」では幅広い就労活動が認められている

次に、「高度専門職2号」で認められている活動を見てみましょう。 2号には、イ、ロ、ハの区分がなく、「指定書」もつきません。幅広い就労活動が認められていることがわかります。

「高度専門職2号」を取得できるのは、1号で一定期間活動した方のみで、来日時にいきなり「高度専門職2号」の在留資格認定を受けることや、他の在留資格から直接、2号に変更することはできません。

「高度専門職2号」は在留期間が「無期限」で優遇措置も多い

「高度専門職」1号と2号の、優遇措置を比較してみましょう。

高度専門職2号では、1号の優遇措置に加え、就労活動の自由度が高まっていることの他、在留期間が「無期限」になっていることが大きな特徴です。高度専門職2号では、就労していることが前提ではありますが、「永住者」に近い条件で、高度専門職にしか認められていない優遇措置を受けることが出来ます。

高度専門職1号への変更を行う方の多くは、早期に永住申請を行って「永住者」の在留資格を手に入れることを目的としているようですが、永住許可申請の前に、高度専門職2号への変更という選択肢があることも覚えておくと良いかも知れません。例えば、小さな子供の面倒を見てもらうために両親を日本に呼び寄せ、長期滞在してもらうことは、「永住者」ではできませんが、高度専門職であれば子供が7歳になるまでは可能です。

なお、「高度専門職2号」への変更は、「高度専門職1号」で3年以上(特別高度人材では1年以上)活動を行っていた方が対象です。

「高度専門職2号」への変更は、1号への変更や更新とは異なり、所得及び納税状況を証明する資料や、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料など、提出が必要な書類は増えますが、既に「高度専門職1号」で就労されている方であれば、これらの書類を揃えることはそれほど難しくないと思います。そして、審査期間は永住許可申請よりもかなり短いことが予想されます。

参考:
出入国管理及び難民認定法 | e-Gov法令検索
高度人材ポイント制とは? | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)