こんにちは、行政書士法人IMSの松井です。

ロシアのウクライナ侵攻が収まる気配を見せず、世界的には不穏な状況が続いていますが、日本にとって明るいニュースは新型コロナの感染拡大により長らく停止されていた外国人の新規入国がついにこの3月1日より、ほぼ全面的に解除されたことでしょうか?観光での入国はまだ認められていませんが、留学、就労といった中長期在留者やビジネスでの短期出張については、受け入れ機関が日本にあれば、入国が可能となりました。在留資格認定証明書を交付されながら、入国を待ち続けていた外国人が約40万人いるとの報道もあり、少しずつとはなりますが、鎖国状態が解消され、日本経済が上向いていくことを願っております。

“tdy”とは?

年度末が近いせいか、最近は米国の就労ビザの問い合わせ、ご依頼が増えているように思います。本日は、米国の E-tdy という少々特殊なビザについて、ご紹介したいと思います。“tdy”とは、temporary duty、つまり、短期間の用務の略称です。その前にEがついているので、Eビザのカテゴリーだけれども、短期間の用務で渡米したいですという時に利用できるものです。

アメリカ E-2 tdy

Eビザとは、いわゆる貿易・投資ビザで、E-1が貿易、E-2が投資ビザです。今回はE-2 tdy という形での申請を行いました。E-2ビザは通常、個人の投資家、あるいは企業投資の場合には、その企業の中で重要なポジションにある管理職、マネージャー職、専門職の方が赴任する際に申請・取得されます。つまり、数年以上のある程度長期間、米国に滞在し、就労するために取得するビザです。しかしながら、社内プロジェクト等で数か月程度のみ米国に滞在したい場合もあります。その際にESTAやBビザでは米国での活動内容が馴染まなかったり、限りなく就労活動に近い場合には、これらのステイタスで米国に滞在することは不法就労となる可能性もあり、危険です。入国拒否にあったり、米国滞在中に不法就労と認定されてしまうと会社も個人も大きな不利益を被ることになってしまいます。それらのリスクを回避するための一つの方策が E-tdy です。これはあくまでEビザという就労ビザのカテゴリーですので、米国での就労が可能となります。ただし、短期間であるため、在籍は日本企業のまま、報酬の源泉も日本企業のままで問題ありません。

E-tdy の根拠

この E-tdy の根拠は、FAMと呼ばれる米国の規則に記載されています。

“In some cases, ordinarily skilled workers can qualify as essential employees, and this almost always involves workers needed for start-up or training purposes. A new business or an established business expanding into a new field in the United States might need employees who are ordinarily skilled workers for a short period of time. Such employees derive their essentiality from their familiarity with the overseas operations rather than the nature of their skills.  The specialization of skills lies in the knowledge of the peculiarities of the operation of the employer’s enterprise rather than in the rote skill held by the applicant.”(9 FAM 402.9-7(C) C. (2))

以前はE-tdy とビザに表示されていましたが、現在はビザにはE-tdyの表示はなく、通常のEビザと同様の表示しかされません。E-tdy というビザカテゴリーは現在、存在しないのですが、申請上は E-tdy が可能です。E-tdy の概念は残っています。今回も3か月程度の滞在予定期間だったので、E-tdy で申請しましたが、ビザの有効期間は5年間のものが発給されました。

E-tdyの活用

E-tdy の利用にあたって、気を付けなけれなならないことは、これはあくまでEビザなので、当然のことながら、Eビザの条件を満たさなければならないということです。最も大きな問題は、Eビザの企業登録がなされているかという点です。既にEビザでのご赴任者がいらっしゃる企業であれば、間違いなく企業登録がなされておりますので、短期プロジェクト等で従業員の方を短期間米国に派遣し、現地で就労してもらいたい場合には、この E-tdy のご利用をお勧めいたします。

E-tdy の申請を検討される場合には、ぜひIMSまでお問い合わせください。