こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

北京オリンピックが始まりましたね。ついこの間、東京オリンピックが終わったばかりなのに、すぐに冬季オリンピックなので何だか変な感じです。応援しかできませんが、選手の皆さんは、コロナに負けず、頑張ってください!

コロナについては、オミクロン株が優位になるにつれて、日本でも感染者数が爆発的に増えていますが、一方であまり重症化しない等のデータが集まってきたせいか、海外から日本へ入国・帰国後の待機期間は7日間まで短縮されました。14日待機に比べると半分になったので、だいぶ海外出張や旅行も行きやすくなったかもしれません。それでも、米国は入国後の待機も隔離もなし(ただし、基本的に永住者ではない外国人はワクチン接種完了が必要)、ベトナムはワクチン接種完了を条件に隔離3日に短縮可能となっているので、まだまだ日本の待機期間は長いとも言えます。

新型コロナの感染拡大が確認されてから、約2年となり、徐々にではありますが、「人の移動」も再開してきたようです。弊社でも米国ビザやベトナムビザのお問い合わせが増えてまいりました。米国ビザについては、EビザやLビザ等に係る企業様からのお問い合わせが多くなっていますが、Bビザについては個人のお客様から、入国拒否になった、強制送還になった等のお問い合わせが増えてきているように感じております。

日本でもアメリカでも「入国拒否」と「強制送還(退去強制)」は異なる概念です。混同していらっしゃる方も多いようなので、本日は、これらについて解説させていただきます。

入国拒否とは

【入国拒否】入国時の入国審査において、入国が許可されず、自国あるいは出発地へ戻されること

日本:島国なので、「入国拒否」ではなく、「上陸拒否」という言葉を使います。「入国」は日本の領海内に入 ること、「上陸」は日本の領土に足を踏み入れることになります。日本の入管は、空海港で審査をしますので、入国ではなく、上陸を認めるか否かの審査となります。入管法第5条には「上陸拒否事由」が列挙されております。

米国: 米国移民国籍法第212条に“Classes of Aliens Ineligible for Visas or Admission(ビザや入国が認められない外国人の分類)” が定義されており、入国を認めないケースについて、列挙されています。犯罪、疾病、移民の意思がある、適切な文書(ビザ等)を所持していない場合等内容は多岐に渡ります。なお、入国拒否の理由が虚偽申告等悪質な場合、米国移民法235(b)(1)条に基づくExpedited Removal Order(略式の退去命令)となり、5年間の入国が禁止され、ビザがキャンセルされてしまう場合があります。

強制送還とは

【強制送還・退去強制(Deportation)】国内に滞在している外国人を強制的に国から退去させること

日本:正式名称は「退去強制」と言い、入管法に基づく処分となります。入管法第24条には退去強制事由が列挙されています。退去強制による出国の場合には5年、またケースよっては10年間日本に戻ることができません。なお、日本では、不法残留(オーバーステイ)している外国人が自ら帰国を希望して入管に出頭した場合には、「出国命令制度」を利用して、出国することができますが、違反は不法残留のみであることが条件で他の罪等がある場合には利用できません。出国命令の場合には、収容もされず、出国後、再び日本に入国できない期間も1年のみとなります。

米国:米国移民国籍法第237条に“General Classes of Deportable Aliens(強制送還可能な外国人の一般的な分類)” が定義されています。Any alien (including an alien crewman) in and admitted to the United States shall, upon the order of the Attorney General, be removed if the alien is within one or more of the following classes of deportable aliens(米国に入国した外国人(外国人乗組員を含む)は、司法長官の命令により、その外国人が以下の強制送還事由の1つ以上に該当する場合は退去させられる。)と記載されておりますので、入国拒否とは異なることがお分かりになるかと思います。こちらはあくまで「米国に入国した=滞在中の外国人」に対する処分となります。

したがいまして、渡米⇒審査場から別室⇒入国を認められず、日本に戻されるパターンは入国拒否となります。一度でも入国拒否にあってしまうと、現行法上、ESTAは2度と使えなくなってしまいます。ESTA渡航の方もビザで渡航の方も渡米の際には、くれぐれもお気を付けください。

入国拒否にあった方のビザ申請サポートページはこちら。