こんにちは。行政書士法人IMSの竹内です。


昨今、永住権許可申請においては審査が厳格化されており、審査期間はじめ取得までの過程が以前よりも厳しくなっているものと存じます。

その中で永住権を取得した際の申請者様の喜びは、弊社にとっても同じように嬉しく感じます。
さて、24年の入管法改正にて永住権取得後の取消事由が追加されました。これにより取得した永住権が取消されてしまう場合も出てきました。
今回は願わくば該当してほしくないという取消しに関してお話させていただきます。
もともと取消し事由はありましたが今回追加された取消し事由は主に次の点です。

① 故意に公租公課の支払をしないこと
② 一定の重大な刑罰法令違反
③ 悪意ある入管法義務違反

① 故意に公租公課の支払をしないこととは?
まず、公租公課とは国や地方公共団体に納付する税金のことです。
所得税や消費税、住民税等の税金がありますが、この税金を永住権取得後に
故意に支払わなかった場合、取り消しの対象になります。
本来、永住権付与は税金などを適切な時期にしっかりと払う=(公的義務)国民の義務を履行しているというのが基本にあり、これからも今まで同様に納期日を厳守し、適正に適切な時期に納付するものという考えで付与されているものと存じます。
ここでのポイントは「故意」です。人間ですからうっかりと失念し、納期日を過ぎてしまうこともあります。今回の追加ではこのような「過失」においては取り消し対象にはせず、「納付すべきことを知っている」「納付するだけの支払能力もある」などの状態で敢えて納付しないものを対象としています。

② 一定の重大な刑罰法令違反とは?
ここでいう一定の重大な刑罰法令違反とは
刑法の窃盗、詐欺、恐喝、殺人の罪などや自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の危険運転致死傷など、一定の重大な刑罰法令違反に限られており、いずれも故意犯を対象
と入管掲示のQ&Aに記載があります。そしてここでは拘禁刑に処されたものが対象になり、罰金刑は含まれません。ここでも①と同じく「故意」犯が対象になっていますので「過失」においては対象外になります。

③ 悪質な入管法義務違反
ここでいう「悪質な入管法義務違反」とは例えば引っ越しをしたにもかかわらず届け出ない、携帯義務のある在留カードを常に携帯しないなどを指します。
上記、①、②と同じく「過失」によって不携帯の状態であった場合は対象外です。

取消しはすぐに実行されるのですか?
「取消し」とは非常に重い処分ですので、法務大臣は取消し事由の有無を入国審査官などに確認させます。そして該当する場合は取り消すか、在留資格を「定住者」等に変更するものと考えられています。変更後も公的義務を履行し、要件を満たした際は改めて「永住権」が取得可能ともいわれています。

さて2025年の制度改正により、公租公課(納税などの公的義務の履行)は永住権だけでなく、在留資格更新や変更許可申請等にも影響する厳格審査の要件になっていますので、今からでもご留意いただければと存じます。

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