こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。

日本では卒業・就職の季節と言えば春ですが、留学生の場合は秋入学の方が多いので、卒業も秋の方が多いようです。日本での就職を希望しているものの、まだ就職先が決まっていない場合は、卒業後のことが心配な時期かと思います。そこで今回は、日本の大学(大学院を含む)に在学中の方で、卒業後も日本で就職活動を行うための在留資格である「特定活動」、いわゆる“就活ビザ”への変更を考えている方からのご質問に答える形で解説してみたいと思います。

“就活ビザ”よくある質問(FAQ)

Q1:在留資格「留学」から、継続就職活動のための「特定活動」への在留資格変更申請は、いつから出来ますか?

A1:在留資格の変更許可申請は、通常、新しい在留資格での活動を始める概ね3ヵ月前から可能となります。卒業前であっても、学校からの推薦状、卒業見込み証明書及びその他の必要書類があれば申請できます。但し、実際に卒業していることが許可の要件ですので、許可を受ける時(新しい在留カードを受け取る時)には、卒業証書(写し)又は卒業証明書が必要となります。

Q2:卒業後も現在の在留期間が数か月残っていますが、いつまでに在留資格変更申請をする必要がありますか?

A2:就職活動のために引き続き在留する場合は、在留期間が残っていても、「留学」の活動は終了しているため、卒業後は速やかに在留資格の変更許可申請を行うことをお勧めします。現在持っている在留資格の活動を継続して3か月以上行っていない場合、在留資格の取消し対象になりますので、遅くとも卒業から3ヵ月以内には申請する必要があります。

Q3:“就活ビザ”に変更した後も、アルバイトは出来ますか?

A3:資格外活動許可申請を行えば、留学生と同様、週28時間以内の包括的な資格外活動の許可を得ることができます。
但し、在学中から卒業後も継続してアルバイトを行いたい場合、卒業後は、「留学」の在留資格ではアルバイトはできませんので、早めに「特定活動」への変更申請と資格外活動許可申請を行っておき、卒業と同時に在留資格を切り替えて新しい在留資格での資格外活動を行う必要があります。

Q4:現在、大学で「研究生」として在籍しています。“就活ビザ”への変更は可能でしょうか?

A4:入管のホームページには、対象となるのは在留資格「留学」をもって日本の大学を卒業した外国人で、「別科生、聴講生、科目等履修生及び研究生は含まない」と記載されています。しかしながら、審査要領を確認すると、研究生については、研究生としてのみ在留していた場合は対象外ですが、日本の大学の本科を卒業後、大学院への進学を目的とした研究生として在籍していた場合は、対象に含まれるとされています。但し、立証資料として、日本の大学の卒業(修了)証書または卒業(修了)証明書のほかに、研究成果報告書等の研究生として適当な活動を行っていたことを証する文書の提出が必要です。

Q5:博士課程を満期退学することになりました、“就活ビザ”への変更は可能でしょうか?

A5:博士課程の修了に必要な単位を取得していること(いわゆる単位取得満期退学であること)の大学による証明があれば、博士課程を卒業しているものに準じて扱われますので、変更申請可能です。
なお、博士課程の単位取得満期退学後、博士論文を作成するために研究生として在籍していたことが確認できる場合は、「大学院への進学を目的とした研究生として在籍していた場合」に準じて取り扱うとされています。

Q6:これまで就職活動をしていなかったため、「継続就職活動を行っていることを明らかにする資料」を提出することができません。その場合、“就活ビザ”への変更申請はできないのでしょうか?

A6: 原則として、在学中から就職活動を行っていた方を対象とした在留資格ですが、大学院を修了した方であれば、別の資料を提出することで申請可能となります。
入管のホームページでは上記の資料の注釈として、「大学院生について、研究活動等に専念する必要があり、在学中、就職活動を十分に行うことができなかった場合は、最寄りの地方出入国在留管理官署まで御相談ください。」という記載がありますが、具体的には、就職活動を行うことができなかった理由について、直前まで在籍していた大学院の指導担当者等が作成した理由(任意様式)が提出できれば申請可能となります。

最後に、あまりよくある質問ではありませんが、関連事項として補足としておきますと、継続就職活動のための「特定活動」への変更申請を行う方留学生の方が、「家族滞在」の扶養者になっている場合、家族の方も、在留資格「家族滞在」から「特定活動」への変更申請を行う必要があります。

以上の内容が、就職活動中の留学生の皆さまにとって参考となれば幸いです。そして、日本での就職活動が成功することを願っております。

参考:
本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合 | 出入国在留管理庁
入国・在留審査要領(令和7年3月開示版) 第12編「在留資格」

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