こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。
第二次トランプ政権の誕生から100日が経過しました。この100日間に、不法移民対策、留学生のビザ取り消し、外国人登録義務の厳格化等米国に入国・滞在する外国人にとって重要なニュースが急増したように思います。本日は以前よりも重要性の増したI-94についてご案内いたします。
I-94とは?
ひと昔前までは、渡米の際、機内で横長の紙に氏名等身分事項を書かされ、米国に到着後の入国審査でパスポートと一緒に提出⇒入国許可の場合には、パスポートのスタンプを押され、横長の紙の半券のみパスポートにホチキス止めされたのを覚えていらっしゃいますでしょうか。その半券は米国を出国する際のエアラインでのチェックインカウンターで回収されていました。デジタル化の進んだ現在では、機内での用紙の記入は不要となり、パスポートへのスタンプも押されなくなりました。それでは、ESTAや非移民ビザで渡米する場合、自身の滞在期限はどうやって確認すれば良いのでしょうか?
たまにビザの期限=滞在期限と思われていらっしゃる方がおられますが、それは大きな誤りです。ビザの期限はあくまでそのビザの有効期限であり、滞在期限はビザをもとに入国審査官がそれぞれの入国審査にて決定します。現在は、各自の滞在期限は、I-94にて管理されております。これは以前からあった出入国記録ですが、パスポートへのスタンプの押印がなくなり、より重要性が高まっております。I-94はご自身の記録であれば、パスポート番号や身分事項を入力することにより誰でも簡単に確認することができます。
I-94のウェブサイトに行くと、上部に下記のようなバーがあります。このうち「Get Most Recent I-94」をクリックし、必要事項を入力すれば、あなたの直近のI-94、つまり米国への入国記録を見ることができます。そこには、いつ、どこから、どのようなビザステイタスで許可されたのか、また、滞在期限はいつまでなのかといった情報が出てきます。入国後すぐに、ここで入国許可情報が正しいかどうか、滞在期限はいつまでなのかを確認しましょう。万が一、記録に誤りがある場合には至急CBP(Customs and Border Protection)に連絡の上、記録の修正を願い出る必要があります。

また、その横の「View Travel History」をクリックすると、同じパスポートでしたら過去5年間分のあなたの渡米歴を確認することができます。いつどこに到着したか、いつどこから出国したかということが分かりますので、非移民ビザ申請等で渡米歴を確認する必要がある場合にはここを参照してください。
現在、滞米中の方が右側の「View Compliance」をクリックすると、あなたの残りの滞在日数を確認することができます。オーバースティにならないようこちらも有効活用してください。
なお、I-94の情報はパスポートに紐づいていますので、新しいパスポートを入手し、渡米前に新パスポート番号で検索しても、何の記録も出てきませんが、大抵の場合、その新しいパスポートで一度でも渡米すれば、旧パスポートの履歴と紐づいて、新パスポート番号での検索で旧パスポートでの渡米歴も検索できるようになります。
I-94の重要性
- うっかりのオーバースティを防ごう!
ESTA渡米でいつも90日の許可を得られるわけではありません。渡米が頻繁に続いた結果、何回目かの入国時には2週間しか許可をもらえていなかったのに、それに気付かず、2か月程度のオーバースティとなってしまった事例がありました。また、ESTA渡米者がカナダやメキシコに渡航し、そのまま米国に戻っても、通常、I-94はリセットされず、最初の渡米時から滞在期限が設定されます。こちらの記事もご参照ください。
加えて、パスポートの期限が短い時も要注意です。パスポートの期限までしか許可をもらえないことは良くあります。特に帯同家族と一緒にご赴任の場合にはお子さんのパスポートの期限に注意を払う必要があります。日本は子どものパスポートの有効期間は5年間です。入国時にパスポートの期限が短いため、子どもだけ、滞在期限も短く設定されていたことに気付かず、オーバースティとなってしまった事例もありました。オーバースティをすると、その時有していたビザは無効となり、再度のビザ申請取得が必要となります。
- 外国人登録義務及び登録証明書の携帯義務化
2025年4月11日より、米国における外国人登録義務、登録証明書の携帯義務等が強化されています。18歳以上の外国人は、国土安全保障省(DHS)が発行する登録証明書(I-94、就労許可証(EAD)、グリーンカード等)を常時携帯することが義務化されました。したがって、ESTAや非移民ビザで渡米なさる方は、入国後、I-94のサイトの「Get Most Recent I-94」より、ご自身のI-94を取得、紙にプリント、またはスマートフォン等にPDF形式で保存し、常時携帯する必要があります。義務違反に対しては罰則が科され、故意とみなされた場合は国外退去処分となる可能性もあります。
I-94の重要性をお分かりいただけましたでしょうか。渡米時には入国後すぐにI-94をご確認いただき、くれぐれもトラブルに巻き込まれないようになさってください。
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