こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。

梅雨が近づいてきたようで、ムシムシする季節となってしまいました。日本は安全で安くて、食べ物も美味しくて、世界の中でもとても住みやすい場所だと思いますが、この時期ばかりは爽やかな気候の地に逃避したくなります。

アメリカEビザの特殊性

今回は米国のEビザ企業登録について、解説したいと思います。

まず、米国のEビザとは、米国への投資や貿易活動を行う外国人に対して与えられる非移民ビザの一種です。E-1の貿易ビザとE-2の投資ビザの2種類があります。これらのビザは、米国と特定の国々との間で締結された協定に基づいています。日本と米国との間では、日米通商航海条約が締結されており、この条約に基づく特殊なビザです。したがって、このような協定を米国と締結していない国籍国(中国等)の方は取得できないビザとなります。

このビザの強みは、時の政権の意向でこのビザを廃止したくても、相手国の了承がなければ、一方的に止めることができない点です。実際にトランプ政権かつコロナ禍で米国はL(企業内転勤)ビザやJ(交流訪問)ビザの新規発給を停止しましたが、Eビザは停止措置を受けませんでした。

Eビザ企業登録とは?

E-1ビザは、米国と外国の間での貿易活動を行う企業の従業員や経営者に与えられます。一方、E-2ビザは、米国内で事業を展開するために投資を行う外国人や法人の従業員や経営者に与えられます。また、申請者は自身の企業(米国法人)が特定の要件を満たしていることを証明する必要があります。企業登録は、Eビザ申請のプロセスの一部として行われるもので、Eビザを初めて申請する際の最大の山場が「企業登録申請」となります。米国企業(米国現地法人)をEビザ企業としての要件を満たしているかどうか米国大使館(領事館)の領事が判断し、要件を満たしているとなれば、最初の一人目のビザが発給されることで、無事に「企業登録」が完了したことになります。一旦、「企業登録」が完了すれば、その後の増員、交代、更新申請はそれほど難しいものではありません。ただし、企業登録した米国法人に誰もEビザホルダーがいなくなってしまうと、「企業登録」が失効してしまい、後にEビザで人を派遣したいときには最初からやり直しとなってしまうので、要注意です。

「企業登録」はどこで申請するべき?

企業登録申請は、米国外にある米国大使館あるいは領事館でしか申請できません。米国内でできる手続きではないことを頭に入れておく必要があります。

米国内にF(学生)ビザやB(短期商用/観光)ビザで滞在しながら、Eビザへのステイタスチェンジを行う方法があります。そして、Eビザへのステイタスチェンジが認められれば、米国内で就労活動ができるようになります。前回、「ビザ」と「ビザステイタス」の違いについて解説しましたが、「Eビザステイタス」を得られたとしても、Eビザを持っているわけではありません。米国内にずっと滞在し、米国外に出ないのであれば、Eビザステイタス(通常、許可は2年のみ)を半永続的に延長し続ければ、米国で就労することも滞在することも問題ありません。ただし、一度でも米国から出国したら、ビザを新たに取らなければ、米国内で就労することはできません。そして、その際には日本で「企業登録申請」から必要になるのです。米国内でのステイタスチェンジの際には「企業登録申請」は不要なので、この点を理解していないと大変なことになります。

よくある失敗パターン

(ケース1)

Fビザで米国滞在⇒米国内でEビザへのステイタスチェンジ(2年間の許可)⇒滞在期限前に米国を出国⇒日本でEビザ企業登録申請⇒投資金額が低すぎ、売り上げも上がっておらず、却下⇒米国に戻れない!家も荷物も米国にあるのに、片付けに行くこともできない!

(ケース2)

Bビザで米国滞在⇒米国内でEビザへのステイタスチェンジ(2年の許可)⇒滞在期限前に出国して、日本で気軽にEビザ申請⇒そもそも、企業登録申請など知らず、要件満たしておらず、却下⇒米国に戻れない!家も荷物も米国にあるのに、片付けに行くこともできない!

FビザもBビザも申請の際には、「必ず日本に戻ります。米国に居つくことはありません。」と約束の上、許可をもらっているはずなので、日本でのEビザ申請の際には領事の心証が良いとは言えません。したがって、米国内でのEビザのステイタスチェンジはあまりお勧めできません。Eビザは最も「永住権」に近いビザと呼ばれます。それは、事業がきちんと展開されている限り、ビザの更新(再取得)が何度でも可能なためです。ただし、そのためには「企業登録」をきちんと行い、定期的に米国外でビザ申請を行う必要があります。

IMSではEビザのご相談も随時受け付けております。ぜひお気軽にお問合せください。なお、本ブログは現時点での情報であり、最新情報についてはお客様の責任において、政府公式サイト等でご確認ください。