皆さま、こんにちは。IMSの下山です。

さて、中国政府は今月10日に日本行きの団体旅行を同日から解禁したと発表しました。解禁の反響は大きく、中国メディアによると発表を受けて旅行大手の同程旅行では、ビザに関する問い合わせが前日の3倍に跳ね上がったという報道もありました。

この発表以降、全日本空輸を利用した訪日ツアーでは第1弾となる団体旅行客一行が23日の夜、北京発の航空機で羽田空港に到着した、というニュースを目にしました。

中国人観光客と言えば、コロナ禍前には「爆買い」という言葉がブームになり、春節(=中国の旧正月)の時期には日本の都市は中国人で溢れかえっていました。

コロナ前の2019年までは、訪日中国人客数は6年連続で増加し、2019年には959万4,394人と1,000万人に肉薄しました。そして、コロナ前の2019年までの傾向では、訪日中国人客数が最も増加するのは7月から8月、一方最も減少するのは3月から5月でした。また近年では、先ほど申し上げた春節(旧正月)の休暇と重なる1月・2月にも訪日中国人の増加傾向がみられました。

一方コロナ後はどうなったのでしょうか。2022年の訪日中国人客数は18万9,125人となり、他の国籍と比べ回復に遅れがみられます。

ようやく団体旅行解禁となったわけですが、果たしてコロナ前の状況にまで回復するのでしょうか。

専門家の見方では慎重な意見が多く、その理由として中国国内で経済不安が広がっていることを挙げています。つまり、どこまで旅行消費にお金を回せるのか見通せない、とのことです。また、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出の影響も読みにくい、と言います。

専門家が慎重な見方の一方で、旅行業界では中国人観光客の回復を期待する声もあり、はとバスはコロナ禍で運休していた中国語によるツアーを9月末から復活させるそうです。富士山周辺を巡るコースで、以前は乗客44人乗りの黄色い一般バスのみで運行していたものを、新たに24人乗りの最上級バスを一部の日程で使うことにしたそうです。料金(大人)は1万6,000円に設定、一般バスより4,000円高いですが、縦3列のゆったりした独立型の座席だそうです。安全性も高め、全席にコンセントを完備、コーヒーなども提供するそうで、同社広報は「ニーズに合わせ、ツアーの差別化を図った」といいます。

コロナ禍の3年間で状況が大きく変わった今、果たして「爆買い」をする中国人旅行客は日本に戻ってくるのか。慎重に見ていく必要がありそうです。