こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。外国人の方が日本に中長期で滞在する場合、在留期間中に「在留期間更新許可申請」や「在留資格変更許可申請」が必要になることがありますが、それ以外にも「届出」という手続きが必要になる場合があります。届出義務を怠った場合は罰則規定もありますので、注意が必要です。今回は、届出義務について理解を深めておきたいと思います。

Q1: 中長期在留者の届出義務にはどのようなものがありますか?

A1: 主なものは以下の通りです。

1)住居地の届出

新規上陸後の届出と住居地変更の届出があります。新規上陸後は住居地を定めた日から14日以内、住居地変更の場合は新住居地に移転した日から14日以内に、在留カードを市区町村の窓口に持参して、届出を行う必要があります。

怠った場合は罰則規定(20万円以下の罰金)がある他、未届期間が90日を超えると在留資格の取消し対象となります。

2)所属機関等に関する届出

先ず、こちらの届出が必要となる対象者は「教授」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「留学」、「研修」の在留資格を持つ方です。

(逆に言うと、活動系の在留資格でも「芸術」「宗教」「報道」「文化活動」「特定活動」は対象外ということになります。)

対象となる方の所属機関等(活動機関または契約機関)が名称や所在地を変更した場合、消滅した場合、活動機関から離脱した場合、移籍した場合、契約機関との契約が終了した場合、新たな契約を締結した場合は、14日以内に出入国在留管理庁長官に対し、届出を行う必要があります。

届出方法は、①インターネット、②入管窓口に持参、③郵送の3つがあります。

怠った場合の罰則規定(20万円以下の罰金)もありますが、万が一、期限を過ぎてしまった場合でも、気づいたら速やかに届け出ることが必要です。

3)配偶者に関する届出

在留資格「家族滞在」、「日本人の配偶者等」もしくは「永住者の配偶者等」を持つ方が配偶者と離婚した場合または死別した場合は、14日以内に届出を行う必要があります。

こちらも、届出方法は、①インターネット、②入管窓口に持参、③郵送の3つが可能です。

Q2 : 中長期在留者には届出義務があるとのことですが、そもそも「中長期在留者」とはどのような人ですか。

A2: 簡単にいうと「在留カード」を持って日本に滞在している外国人のことです。

具体的には次の1~6のいずれにも当てはまらない人です。例えば、観光目的で日本に短期間滞在する外国人の方や、パスポートに期間「3月」の在留資格を示す証印シールが貼られているだけで在留カードが交付されていない方は中長期在留者には含まれません。

  1. 3月以下の在留期間が決定された人
  2. 短期滞在の在留資格が決定された人
  3. 外交又は公用の在留資格が決定された人
  4. これらの外国人に準ずるものとして法務省令で定める人(具体的には、台湾日本関係協会の本邦の事務所若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方)
  5. 特別永住者
  6. 在留資格を有しない人

なお、「特別永住者」とは、戦前から引き続き日本に居住している朝鮮半島および台湾出身者、つまり、かつて日本の統治(植民地)政策により日本国籍を有して日本に居住していた方で、終戦後、日本との平和条約に基づいて日本国籍を離脱した後も引き続き日本に居住している方とその子孫のことです。特別永住者の方には、在留カードではなく、在留カードに似た「特別永住者証明書」が交付されています。

参考:
新規上陸後の住居地の届出(中長期在留者) | 出入国在留管理庁
住居地の変更届出(中長期在留者) | 出入国在留管理庁
所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A | 出入国在留管理庁

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