こんにちは。行政書士法人IMSの松井です。
アメリカでは夏に多くの野外コンサートや音楽フェスティバルが開催されるためか、6月
~7月に掛けては、Pビザ等のアーティスト向けビザのご依頼を多くいただきます。今回
はアメリカのアーティスト向けビザについて考えていきたいと思います。

音楽家、美術家といったアーティストがアメリカで活動しようとする場合、考えられるアメリカビザは下記のとおりです。
1.B1/B2ビザ、ESTA
2.Pビザ
3.Oビザ

それでは、順番に見ていきましょう。

1.B1/B2ビザ、ESTA

B1ビザ:
B1ビザは短期商用向けのビザと言われるため、B1であれば、アーティストの活動も問題なしと考えられる方が多いようですが、それは大きな誤りです。プロのアーティストがB1ビザで可能な活動の範囲は非常に限定的です。例えば、下記のようなケースではB1ビザでの活動が可能ですが、その他多くの場合で、B1 ビザでアーティストとしての活動をアメリカ国内で行うことはできません。
・プロのアーティストがコンクールに参加するために渡米し、賞金と経費以外の報酬がない場合
・音楽家が、レコーディングを目的としてレコーディング施設を利用するために渡米し、そのレコーディングは米国外でのみ配布・販売され、公開演奏は行われない場合
・芸術家が絵画や彫刻などのために渡米する場合で、アメリカの雇用主と契約しておらず、その芸術作品をアメリカ国内で定期的に販売するつもりがない場合

B2ビザ:
B2ビザは観光や親族訪問向けのビザです。アマチュアのアーティストが無報酬で社会的あるいは慈善的な目的でパフォーマンスを行う場合には、B2ビザが該当します。アメリカ国外で通常、報酬を得て活動しているアーティストは、アマチュアアーティストとは言えません。たとえ、アメリカでの活動が無報酬だったとしても、B2ビザには該当しません。

ESTA:
ESTAはビザ免除プログラムのことです。日本等の特定の国籍国者はこのプログラムを利用することが可能です。アメリカ国内で行い得る活動内容はB1ビザあるいはB2ビザと同様です。したがって、条件に合致しているアーティストは、ESTAでも活動が可能な場合がありますが、念のため、B1/B2ビザを申請することも可能です。

2.Pビザ

いくつかの種類がありますが、例えば、アメリカでコンサートを行う歌手や音楽バンドなどはPビザに該当する可能性があります。これはBビザと異なり、就労ビザの一種ですので、報酬を得ることが可能です。また、アーティストのサポートを行うマネージャー、スタイリスト、ヘアメイクスタッフもこのビザを取得できます。サポートメンバーは、P-1Sビザとなります。ビザの許可期間は基本的には当該イベントの期間となります。したがって、毎年1回、同じ音楽イベントに参加するようなアーティストは毎年Pビザを取得する必要があります。Bビザと異なり、ビザ申請の前に移民局にPetition申請を行い、許可を得ておかなければなりませんので、ビザ取得までにはコストも時間も要します。

3.Oビザ

Oビザはアーティストビザとも呼ばれるもので、科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツの分野で卓越した能力を持っている、または映画・テレビ界において卓越した業績を上げ、その業績が国内あるいは国際的に認められている個人に与えられるものです。Pビザとは異なり、グループではなく、個人で申請するビザですので、例えば、音楽グループの場合には、各メンバーが卓越した能力を持っていることを証明しなければ、Oビザを取得することはできません。ただし、Pビザと同様、サポートメンバーもOビザを取得できる可能性があります。また、Oビザもビザ申請の前に移民局にPetition申請を行い、許可を得ておかなければなりませんので、ビザ取得までにはコストも時間も要します。

プロのアーティストがアメリカにてパフォーマンスを行う場合で最も利用されているビザはPビザかと思われます。Pビザ申請者はほとんどのケースで既に決まったスケジュールでの渡米が求められるため、移民局への申請および日本でのビザ申請手続きを十分な時間的余裕を持って、早め早めに対応しませんと、ビザが間に合わないといった事態も起こり得ます。たまにビザ問題でアメリカでの公演がキャンセルになってしまったといった報道も見かけます。Pビザはアーティストおよびスタッフを含めるとかなりの人数となることも多く、面接予約も至難の業です。IMSでは、短期間での大量申請についても実績が数多くありますので、お困りの際にはお早めにIMSまでお問い合わせください。

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