こんにちは。行政書士法人IMSの稲田です。

ワーキング・ホリデーというと日本の若い方が海外に行くイメージですが、逆にワーキング・ホリデーで日本に滞在している外国の方もいらっしゃいます。弊社でも時々このような方の在留資格についてお問い合わせを頂くことがありますので、今回はワーキング・ホリデーの在留資格について理解を深めておきたいと思います。

ワーキング・ホリデーは2国間の相互の取り決め制度

ワーキング・ホリデー制度とは、二国・地域間の取決め等に基づき、相互理解を深めることを目的として、お互いの国・地域の文化や生活様式を理解する機会を青少年に提供するための制度です。日本では、1980年にオーストラリアとの間で初めて導入され、現在30か国・地域との間でこの制度が行われています。(2025年1月時点の情報)

在留資格は「特定活動(告示5号・5号の2)」

ワーキング・ホリデー制度を使って来日した方の在留資格は「特定活動」となります。入管法上の活動としては、法務省告示の5号及び5号の2で定められています。

法務省告示5号では、その活動が「日本と各国・地域政府が交わした口上書、協定または協力覚書の適用を受ける者」が行うものであること、「日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため本邦において一定期間の休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うために必要な範囲内の報酬を受ける活動」(風俗営業活動を除く)であることが定められています。そして、5号の2では、上記の活動は「ワーキング・ホリデー査証」の発給を受けた者が「1年を越えない期間」で行うものであることが定められています。

ワーキング・ホリデー中の方を雇用する時の留意点

ワーキング・ホリデーで滞在中の方は在留カードを持っていますが、在留カードでは在留資格が「特定活動」であることしか分からないため、ワーキング・ホリデーの方を雇用する場合は、必ずパスポートに添付された「指定書」を確認する必要があります。「指定書」に告示5号で定められている活動の内容が記載されていれば、資格外活動許可がなくても就労可能であることが分かります。活動の趣旨に沿ったものであれば、雇用形態や就労時間の制限はありません。但し、当然のことながら労働基準法の適用は受けますので、安い労働力として使うことや長時間働かせることは、労働基準法3条(均等待遇)に抵触しますので、日本人と同等の待遇で雇用することが求められます。

ワーキング・ホリデー後も雇用する場合

ワーキング・ホリデー(特定活動)での滞在期間は最長1年で終了しますので、その後も日本で働くためには、就労可能な別の在留資格への切り替えが必要です。

その際、先ずは、仕事の内容に基づいて適切な在留資格を確認すること、そして、その方がその在留資格の要件を満たしているのかを確認することが必要です。

また、ワーキング・ホリデーからの変更の場合は、日本に在留したまま在留資格の変更が可能なのか、一旦帰国して、新たに査証を取得してから再入国しなければならないのかが、その方の国籍によって異なるので注意が必要です。

「特定活動」からの変更が可能か、一旦、出国が必要かは、国別の取り決めによる

告示5号で定めている通り、日本と各国・地域政府が交わした口上書、協定または協力覚書の適用を受けるため、取り決めの内容は一律ではなく、国・地域によって異なります。

多くの場合、取り決めの中には以下のような文言があり、ワーキング・ホリデーが終了したら一旦出国しなければなりません。

・滞在終了時に日本国を出国する意図を有すること。
・許可された期間を超えて滞在を延長すること及びその滞在期間中に滞在資格を変更することは認められない。

一方で、取り決めの中に上記のような文言が含まれていない国もあります。その場合は、日本国内で、「特定活動」から他の在留資格への変更も可能です。オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、ドイツなど、早い時期に制度が導入された国との取り決めには上記のような文言が入っていないようですが、ドイツと同じ年に導入されたフランスでは上記の文言が入っているなど、一概には言えないようです。また、国によって細かい条件が異なる場合や、制度の見直しが行われることもありますので、最新の情報は個別に確認する必要があります。

参考:出入国管理実務六法(出入国管理法令研究会編/日本加除出版)
   ワーキング・ホリデー制度|外務省
   労働基準法 | e-Gov 法令検索

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